こんにちは、関西地区チューターの石部沙季です。
8月10日(水)に、関西・愛知・宮城地区 第二回定例会を開催しました。
第二回目のテーマは、“メーリングリストを活用した情報発信”。
CSOラーニング制度では、ラーニング生やCSO関係者、環境財団の職員が参加している
メーリングリストを利用して情報共有・発信をすることができます。
ただ、ラーニング生の中で実際に活用している人はあまり多くないというのが現状…。
しかしメールは、今後社会に出たときにほぼすべての人が必ず使うことになるツールです。
ラーニング生の皆さんにはぜひこの期間にたくさん練習して、スキルを身に着けてほしい!!
というわけで今回の定例会では、
メールを使ってより効果的な情報発信をするための勉強会を行いました。
(1)メール活用についてのレクチャー(瀬川さん)
はじめに、損保環境財団の瀬川さんから、メールでの情報発信についてレクチャーして いただきました。
教えていただいたポイントは主に以下の3点です。
①メールを送っている目的 を意識しよう
メールを書くとき、つい “送ること” が目的になってしまっていませんか?
しかし大事なのは、受信した人に “読んでもらうこと” であるはず。
メールを読んだ人に、イベントに参加してもらう、ということが目的であれば、
“なんか面白そう!” と思ってもらえるように、
興味をそそるようなタイトルやリード文を考えなければなりません。
また、客観的な情報だけでなく、自分が伝えたい魅力など“主観的な想い”を
盛り込んで文章を書くことも重要です。
②ターゲット設定と内容の整合性 を確かめよう
大多数に向けての文章を作成するとき、なんとなく誰が見てもいいように
無難な表現を選んでしまいますよね。
しかし、それは当たり障りのない、誰の興味も引かない文章が
出来上がってしまう要因にもなり得るんです…。
どんな人に興味を持ってほしいのか、より具体的に対象を絞り、
そのターゲットに確実に刺さるように意識して文章を書くと、
よりメッセージ性の強い内容になるかもしれません!
③読み手の気持ち になろう
やはり情報を発信する際、
“自分が受け取った時にどう思うか”という視点はとても重要です。
あまりにも長すぎる文章だと、自分だったら最後まで読まないだろうな、
こんな見出しだったらメール開きたくなるな、という風に
読み手の気持ちを意識することで、
おのずと読みやすく、伝わりやすい文章になるのではないでしょうか。
(2)イベント告知コンテスト
次に、メール告知の実践練習も兼ねて、架空の環境保全イベント(「生物多様性を守ろう! ~「食」から考える環境保全~」セミナー)の告知メールをグループに分かれて作成し、 一番興味を引くメールを作ったグループを投票で決めるアクティビティを行いました!
どのグループのメールも、読み手に興味を持ってもらえるように
様々な工夫がなされていました!!
具体的には、
“○○さんのお話を聞くチャンス!” “○○人限定!”
という文言を入れることで、イベントの特別感を出す
“一人暮らしをしているあなた!” “パックの野菜しか買わないあなた!”
など、ターゲットを明確に絞ってアピールする
“食を通して、日々の消費活動を見つめ直してみませんか?”
“食べ物の選び方などで生物多様性を守ることに貢献できるかも”
と、人々に身近なテーマであることを伝え、関心を持ってもらう
“命を持続させる食が生物を危機に!?”
といった一般的なイメージとのギャップを生み出し、興味を引く
…などなど、
同じイベントの告知メールでも、言葉の選び方や文の構成が変わるだけで、
こんなにも読み手として受ける印象が異なるのだと驚いたと同時に、
目的意識をしっかりと持ち、相手のことをよく考えて、情報発信を行う大切さを 改めて学びました!
ラーニング生の皆さんも、定例会で学んだことを生かして、
今後メーリングリストもぜひたくさん活用して、どんどん情報発信していってください!
さて、いよいよ全国合宿の開催も近づいてきましたね!
今年も対面ではなくオンラインでの開催となってしまいましたが
皆さんにとって、楽しく、学びの多い、充実した合宿になれば良いなと思っています。
皆さんにお会いできるのを楽しみにしています!
関西地区チューター
石部沙季
こんにちは。SOMPO環境財団の瀬川です。
2022年度「市民のための環境公開講座」の第3回のレポートです。 今回は「認識から行動へ ―地球の未来を考える9つの視点―」をテーマとした 全9回講座の第3回となります。
8月3日(水)に開催された今回は、京都大学准教授の深町加津枝さんから
「伝統知と生態系を活かした防災・減災」についてお話いただきました。
防災や減災の分野に限らない話ではありますが、「伝統知」と言われると、
「現代には現代の知を集結した最新のテクノロジーがあるのだから、
わざわざ昔の知恵を引っ張り出してこなくても良いのでは?」と感じる人も
いるのではないでしょうか。(実は私もその一人でしたが…。)
今回深町さんにお話しいただいた内容は、上記の問いかけに対する一つの
答えになるのでは、と感じます。今回も私の感想を交えながら講座の概要を
ご紹介しますので、私と同じような疑問をお持ちの方はぜひ最後までご覧ください。
深町さんのご専門は「造園学」や「景観生態学」という分野で、人(文化・社会)と
自然がどのように関わっていくか、ということをテーマに長年研究をされています。
研究内容は専門家だけで議論するのではなく、地域の方々との実践を大切に、
という言葉どおり、今回の講座でも膨大な文献調査やフィールドワークで得られた
資料、写真をたくさんご紹介いただきながら、伝統知が防災・減災にどのように
活かされてきたか、実例をお話しいただきました。
主に取り上げられたのは、琵琶湖西岸の比良山麓地域の取り組みです。
この地域は急峻な山々と琵琶湖に挟まれた非常に狭い平地のエリアで、
防災・減災の観点からは山間部から流れてくる土砂、水の管理が主要な課題と
なります。あわせて、水田のための農業用水の安定的な確保も重要なテーマです。
深町さんからはこの地域の対策例として、①砂防林、②石堤、③内湖の3つを
ご紹介いただきました。①は文字通り集落に土石流が侵入することを防ぐための
樹木、②は同じく洪水、土石流を防ぐための石垣です。③は少し聞きなれない
言葉ですが、内陸部に自然発生した小さな湖(湿地)を、土砂や水の調整弁と
して活用したり、資源活用の場とする取り組みを指しています。
いずれも江戸~明治期の古地図と、ドローンが撮影した航空写真を比較しながら
説明いただきましたが、いかに昔の人々が防災・減災の「急所」を押えて対策を
講じていたのかが如実に分かり、とても驚きました。
ここで最初の問いに戻るのですが、①~③はいずれも現代の建築技術で
代用できてしまうのでは?という点を考えてみたいと思います。
お話を聞いて私が感じた「現代知」との違いは以下のような点でした。
・「伝統知」による対策は、必要な資源がすべて地域内で完結している
砂防林にしても石垣にしても、すべて地域にある自然を活用して作られています。
経済成長のピークを過ぎ、環境配慮や海外情勢の影響で資源活用の制約がどんどん
強まっている現代日本の状況を考えると、非常に重要な知見が詰まっている感じました。
・防災・減災のために「開発しない」余白を作る工夫がある
これも個人的に現在の開発と対照的な考え方と感じた部分です。
「伝統知」では、「ここを開発すると防災・減災上リスクがある」という要所を定め、
宗教施設を建てる、言い伝えで開発を抑止する、共有地にして管理する、など
「土地を利用しない」余白を作るために様々な工夫を凝らしています。
別の見方をすれば、「個人の利益よりも全体の利益を優先する」考え方が徹底
されており、今日的な開発の考え方とは大きく異なるように思えました。
この「全体」にはもちろん自然環境も含まれていて、総じて自然のままに残す部分
(砂防林、内湖など)と能動的に手を入れる部分(石堤、水門など)の押し引きの
バランスが絶妙と感じました。
つまり、「伝統知」が現代より技術的に優れているという話ではなく、根本の発想が
大きく異なる、というのが私の感想です。地域の環境が持つポテンシャルを最大限に
活かしながら開発をする、という考え方には学ぶべき点が多くあると思いますし、
ここに現代の技術があわされば「鬼に金棒」と言ったところではないでしょうか。
防災のために「グリーンインフラ」と「グレーインフラ」があるとして、「グリーンインフラ」
が無くてもよい!と考える人はほとんどいないと思います。理想的なグリーンと
グレーのバランスを実現するためにも、いかに「伝統知」の考え方を実際の開発に
実装していくか、みんなで知恵を絞る必要があるのではないでしょうか。
(講義後の質疑もこの点に集中していたのが印象的でした。)
次回は9月7日(水)18時から、
「誰でも気軽に楽しく食品ロス削減に参加できるクラダシ」をテーマに、株式会社クラダシ
代表取締役社長CEOの関藤竜也さんに講演いただきます。
また、あわせて8月21日(日)10時~11時30分に開催する特別講座、「環境水族館」
アクアマリンふくしまオンラインツアー参加者もあわせて募集中です!
以下リンクからご登録いただけますので、皆さま奮ってご参加ください。
<市民のための環境公開講座・お申込み>
https://www.sompo-ef.org/kouza/kouza2022/