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P R
2022
01,24
14:40
【CSOラーニング制度】2021年度1月関東地区定例会を開催しました!
CATEGORY[CSOラーニング制度]
こんにちは!
関東地区チューターの古田崚馬です。
先日は珍しく関東地方平野部にも、どかっと雪が積もりましたね。
キャンパス内に雪だるまが現れ、一変した街の風景を味わいました。
さて、2022年1月14日(金)に、関東地区第7回定例会がオンラインで開催されました。
内容は二本立てです。一つは派遣先CSOごとの発表。活動内容のうち、印象に残っているものを
1つ発表します。もう一つは、関心テーマごとの話し合い。今月はいよいよ最終発表です。
今回は、インドネシア交流会でお世話になった、JEEFの矢田誠さんがオブザーバーとして参加され、
「日本の皆さんのご活躍を見て、インドネシアの活動でも参考にしたい」と述べられました。
最終回、よい緊張感の中で始まります。
【第1部】CSOごとの活動発表 (60分間)
自分の団体での活動一つ振り返り、みんなにその活動の概要、達成できたこと、反省点、気づき、
そして活動の喜び等を共有します。今月は以下の6つの派遣団体からのプレゼンがありました。
それぞれの要旨と、発表に対する感想や質問をまとめます。
①ECOPLUS
体験を重視した人材育成の一つとして「芝・ネイチャー大学校」という活動がある。
東京都港区在住の親子が茨城県阿見町を訪れ、自然体験や農業体験を通して自然と親しみ
農村部の人々と交流する。運営スタッフとして参加し、自然との触れ合いは人々の心を豊かに
出来ると感じた一方、環境問題に関心のない人へのアプローチが難しいと思った。
(感想・質問)
・大都会に住んでいて自然に身を置く体験の重要さは共感できる。
・私自身、フィールドに出ることが大好きで、コロナで不自由な世の中でもどかしい思いを
していた時期もあった。フィールド活動が主体のECOPLUSにおいて、フィールドに出られない
時期の辛さなどはどう紛らわしていたか?
②共存の森ネットワーク
「聞き書き甲子園」は、全国の高校生が「名人」と呼ばれる林業家や漁師、伝統工芸士を訪ね、
名人の人生をまるごと聞く活動である。聞き書き甲子園の卒業生へのインタビュー記事の作成を
通して、企画から行うことの大変さを痛感し、また自分のインタビューを客観視できた。
SNS投稿では投稿の雰囲気をツール(Twitter,Instagramなど)ごとに変える工夫をした。
自然と向き合ってきた第一次産業従事者の知恵や考え方は無駄にしてはいけない。
(感想・質問)
・他のラーニング生からアドバイスをもらったそうだが、上手に活用できた、役に立った
アドバイスなどがあれば教えてほしい。
③WWFジャパン
広報の部署での活動を通して「国語力」が最重要だと感じた。自分の考えを言語化して伝える
ことに長けている職員の方を見習いたい。
また、国立公園内での地熱発電所開発に関する調査を行った。調べると参考になる資料が少ない
と感じた。一般の人が環境について判断するのは難しい。そういう方々のためにある程度専門性を
持ったCSO等が活動する意義があるのではないか。
(感想・質問)
・私は来年からちょうど地熱発電に関わる企業に就職する。日本は地熱のポテンシャルが高いのに、
国立公園に位置することが多く開発が困難だという問題は興味深い。
・ちょうど先月WWFの方が大学に講演をしに来られ、集合写真にラーニング生の方々も写っていて
感動した!WWFという知名度の高い大きな組織だからこそ“国語力”の持つ力はとても大きい
と思う。
④JEEF日本環境協会フォーラム
全国各地の環境教育に関わる方が交流する「清里ミーティング」、教職員など環境教育を行う
人に向けてのリーダー育成講座、SDGsについての理解を深める「SDGs市民カレッジ」など
幅広い活動を行なった。この3つのイベントにはCSOラーニングの方が参加していたので縁に
感謝したい。
また、数学と科学の参加体験型プログラムであるGEMSのワークショップをサポートしたり
実際に体験したりした。環境課題は様々なことが複雑に絡み合っているので、環境教育において
重要なのは、分野に縛られずに思考力や想像力を育てることだと感じた。
(感想・質問)
・環境教育を行う人たちに向けた教育の重要性が分かった。教育に携わる人も学ぶことを
やめてはいけない。
⑤パブリックリソース財団
食品ロスとなる食材を、食の支援を必要とする人々に届けるフードバンク事業に関わった。
地域に適した様々な対象や形態をもつフードバンクがあることが分かった。しかし「誰もが
安心・安全な食べ物を手に入れられる社会をつくりたい」という思いはどこも同じ。
社会的に意義のある活動を分かりやすく発信すること、全体像を掴むこと、現場に赴くことの
大切さを感じた。今後に生かしたい。
(感想・質問)
・関心のある分野。フードバンクの取り組みは都心では盛んだが地方に出ると少ないように
感じるので、もっと広がってほしい。
・フードバンクでは、衛生面上の理由などからいくつかの規制や障壁などがあると思われる。
フードバンクの問題点や拡大を阻害する要因は何があるのか。
⑥ボルネオ保全トラスト・ジャパン
都内の高校で、1,2年生の生徒ら150名の前で「進路選択と人生選択について」と題し
オーストラリアの大学に進学した自分の経験をもとに講演した。内容は英語の勉強、自分らしく
生きる方法、自分が学ぶgeo-ethicsという倫理分野の普及啓発等。約50名の生徒から質問や
相談を紙でもらい、フィードバックを行った。例えば、やりたいことが見つからない生徒に
対して自己分析とはどういうことかを伝えた。「見えない傷や痛みを緩和したり問題を解決したり
することで地球全体の幸福度を上げる」という自分のモットーに沿うものが出来たと思う。
(感想・質問)
・生徒との交流を通して、自分の人生のモットーに沿う活動ができたということはとても
素晴らしいことだと思う。文化の違う環境で暮らしていく中で、大切にしていることは何か。
今回もここでは書ききれない程、多くの体験が共有されました。
発表後、財団の佐藤さんが「いろんな人との交流でき、社会とつながる経験ができたと思う。
その経験を大切にしてほしい。また、ぜひ失敗から学んでほしい」とおっしゃいました。
加えて司会の瀬川さんが「環境分野に限らず普遍的な学びを得ている」と述べられました。
私は、学んだ実感の大小は人それぞれだと思いますが、いつか、どこかの場面でこの経験が
役立つことがあると考えます。多くの人と多様な価値観を共有できたことに誇りをもって
ほしいです。
【第2部】関心テーマについてのディスカッション最終発表(50分間)
12月から1月の3ヶ月間で、関心分野ごとにその課題の解決方法について議論をします。
「その問題を解決するために私たちが取り組むこと」をラーニング生全体に発信することが
ゴールです。今回は各班より最終発表が行われました。各々の要旨をまとめます。
①気候変動 [映画を鑑賞して]
『不都合な真実』という気候変動対策の重要さを訴える映画をグループで鑑賞し、感想を共有。
映画の内容を踏まえて、私たちに出来そうな次の4つの行動を提案する。身近に出来ることから
始めてみよう。
1.省エネ型の電化製品・電球に交換する。
2.小まめに蛇口を閉め、送水エネルギーを節約する。
3.エアコンの設定温度を見直す。
4.植林活動をする。生育中の木がより多くのCO2を吸収する。
②生物多様性 [里山・里海から考える]
里山・里海は、人々の営みのある場所であり、これらの景観に適応した様々な生物が生息する。
人が自らの文化を育んでいる場所でもあり、生物多様性を維持・向上させる上で重要な役割を
担う地域。個々のアクションは次の通り。
・座学ではなく実際にフィールドに出て公園整備等の活動に参加する。
・海岸清掃に参加し漂着するゴミの実態を知る、そこに住む生き物を見て愛着心を育む。
・地元で採れた野菜を消費し、その土地の耕作地の持続に貢献する。
・自然と共生した暮らしを推進することで、生物多様性と調和した社会を実現する。
③エネルギー問題 [環境家計簿をつけてみよう]
家庭でどのくらいCO2を排出しているかを知るために、環境家計簿をつけてみよう。
日常生活で使用する電気、ガス、灯油、ガソリンなどのエネルギー使用量に、排出係数を掛ける
だけでCO2排出量が出る。東京都小平市が環境家計簿のアプリを出しているのでぜひやってみよう。
グループをつくることも出来る。仲間で競いながら取り組むのも面白いのではないか。
小平市環境家計簿<
https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/036/036804.html
>
④ゴミ問題 [ペットボトルの分別とマイボトルの普及]
PETボトルからPETボトルへのリサイクルを進め、かつ使用量を減らす必要がある。
私たちにできることは、ラベル・ボトル・キャップを分別すること、マイボトルを持つこと、
補充場所を宣伝すること。自分で行動し現状を周囲に伝えることで、周囲も同じ行動をし、
それが世の中の規範になる。マイボトル持参を習慣化し、給水スポットで補給することを
周囲に広める。
⑤食糧問題 [サステナブルな飲食店の利用]
合宿や交流会というイベントがあるとして、そこで具体的に実践できることはサステナブルな
飲食店の利用である。様々な観点から具体的なお店を紹介する。事例として、ジビエ(※)を
扱う、地場野菜を扱う、代替肉として大豆ミートを使用する、食品ロス削減に取り組むお店がある。
このようなサステナブルな飲食店を利用することを通して、食を楽しみながら環境のために
行動できる。
※ジビエ…家畜ではなく、狩猟によって獲た野生の鳥獣
⑥エシカル消費 [ラーニング制度で培った力を活かす]
日本では、エシカル消費は認知されつつあるが実践に結びついていない。理由として消費者の
手に取られにくいこと、継続使用される魅力が薄いことが挙げられる。
私たちは、ラーニング制度の中で、発信力、想像力、行動力が身についた。それらを生かし
3つ提案する。第一に、正しい知識の発信。企業や自治体の行うエシカル消費の推進活動を
発信する。第二に、若い目線を生かし、幅広い世代が使い続けたいと思う商品の提案。
第三に、気軽に楽しくできることを発信。このように、この制度での成長を糧にしたい。
最終発表は、調査に基づいた提案や具体的な提案、そして今から出来そうな提案が多くあり
どの班もおもしろかったです。最後に財団の西脇さんが次のように述べられました。
「後半のミニプロジェクトは予想以上の立派な発表だった。皆さんで決めた決意は実践して欲しい。
アウトプットは出来ていたが、そのプロセスはどうだったか気になる。6月から継続して
『この8ヶ月で一歩踏み出せるように努力してください』と言ってきた。スタート地点も
到達点も人それぞれ違う。一人ひとりがどれだけやれたかが重要。自問自答してほしい」
1月でラーニング制度は終わります。皆さんお疲れ様でした。活動開始直後は、今年度こそは
対面で定例会を行いたいと思っていましたが、結局すべてオンラインとなりました。
しかし、一部では実際に集まって交流ができました。コロナ禍で制約が多い中、この制度の
機会を十分に生かしたいと、ラーニング生らの意志により実現しました。
対面で会った人はもちろん、そうでない人も、活動を通していろんな人と出会うことで、
綺麗に言葉に出来なくても肌で感じたことが多くあったと思います。
どんなことでも感じたこと全てが財産だと思うので、この感覚を忘れない内に自分の行動に
移して欲しいです。
私も皆さんの姿からたくさんのことを学びました。ありがとうございました!
関東地区チューター
古田 崚馬
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2021
12,28
16:13
【CSOラーニング制度】2021年度12月 関西・愛知・宮城地区定例会を開催しました!
CATEGORY[CSOラーニング制度]
こんにちは、宮城地区チューターの平澤拓海です。
今月も12月16日(木)に関西、愛知、宮城の3地区合同で開催されました。
早いものであとは1月の定例会を残すのみとなり、ラーニング生の顔も引き締まってきた
印象を受けます。
さて、今回も前回に引き続き以下の内容で実施しました。
①CSOラーニング制度で印象に残った活動について派遣先ごとの発表
②関心テーマについてのディスカッション
①CSOラーニング制度で印象に残った活動について派遣先ごとの発表
今回は以下の5団体が発表してくれました。
1.環境市民
NPO法人環境市民(
http://www.kankyoshimin.org/
)は、持続可能で豊かな社会・生活を
実現するということをビジョンに活動しているようです。
中でも発信について色々話してくれました。環境活動は、より多くの人に理解してもらい、
行動する人を増やすことで解決に近づいていく問題です。SNSでの発信などを通して
どうやって伝えるか、そんなことをインターンを通して学んでいることが印象的でした。
また、環境活動パワーアップ講座という講座があり、そこで環境活動をする人を支援していく
取り組みも個人的には面白そうでした。
環境活動は営利につながりにくく、モチベーションを保つのも難しいので、こういった支援は、
環境活動を持続的にしていく上で大切だと思います。
2.里山保全活動団体 遊林会
遊林会(
http://www.yurinkai.org/
)は人と自然、人と人をつなげること、そして、自然との
ふれあいを通して豊かな心をはぐくむこと。をミッションに活動している団体です。
誰でも保全活動に参加でき、その中で自然の大切さなどを学んでいくようです。
特に「モリイコ」での子供たちとの触れ合いが印象的でした。
最初は虫が嫌いだったり、上手に話せなかった子供達が、だんだんと自然と一緒に触れ合って
いくことで、虫が触れるようになったり、子供たちと仲良くなっていく様子を話してくれました。
幼少期の体験は、本当に重要だと思います。そういった中でどうやって子供たちと向き合って
いくか、自然と向き合っていくかということをインターンを通して学んでいるようでした。
こういった自然と触れ合える機会が、もっと広がっていくことが、自然を育む人を増やす
ことにもつながっていくでしょう。
3.地球環境市民会議(CASA)
地球環境市民会議(CASA)(
https://www.casa1988.or.jp/
)は、地球規模の環境問題と
地域レベルの大気環境の保全についての活動から始まり、現在は主に気候変動問題について
様々な調査や提言、活動を行っているようです。
特に世界気候アクションの話が印象的でした。著名な講師をお呼びし、その中で他団体の
学生とともに気候変動の解決を呼びかけるイベントを実施して100名程度の方にご参加
いただいたようです。気候変動は1つのセクターだけで解決できる問題ではなく、全ての
セクターができることを全てやっていくことで初めて解決ができると考えています。
自団体に限らず、他の団体も巻き込んだイベントが企画できていたことは、とても印象的で
こういった協働が広がって欲しいと思います。
他にも、Fridays For Future Osakaと一緒にスタンディングアクションをして、石炭火力発電に
抗議する活動など、あまり他の団体では見られない勇気ある活動が印象的に映りました。
4.オイスカ中部日本研修センター
オイスカ中部日本研修センター(
http://www.oisca.org/chubu-tc/
)は、「すべての人々が
さまざまな違いを乗り越えて共存し、地球上のあらゆる生命の基盤を守り育てようとする世界」
を目指して活動する国際NGOの中部支部です。
主に海外の実習生の研修を中心として活動しているようですが、研修といってもかなり多様な
活動をしているようです。
中部地域では、鶏を飼っているようですが、実際に取り立ての卵を取ったり、鶏を絞めたりと
いった経験も含め貴重な時間を過ごしているようです。
ほとんどの活動先がオンラインでの活動に制限される中、OISCA中部では、サマースクールを
実施することができたようです。
子供たちと実習生が一緒にキャンプをするなどの交流が行われていました。一口に環境活動と
言っても様々な活動が見られ、特に環境活動を通して海外の人と交流できたことは、
ラーニング生にとっても大きな経験になったと思います。
5.杜の伝言板ゆるる
杜の伝言板ゆるる(
https://www.yururu.com/
)は、宮城県を中心としたボランティア及び
NPO(民間非営利組織)活動に関わる情報の収集及び提供を主軸に活動している団体です。
その中でもフードバンクでの活動を中心に話してくれました。フードバンクはまだ食べられる
のに様々な理由で処分されてしまう食品を届ける活動です。
捨てられる食糧の量にかなり驚いているようでした。フードバンクの取り組みを知らない人も
多く、そういった広報を含め、取り組んでいるようでした。
オンラインでの活動が中心で思ったように活動できない期間も続いていたようですが、
その中でもできることにフォーカスして活動を頑張っているようでした。
②関心テーマについてのディスカッション
・気候変動
・生物多様性
・エネルギー問題
・ゴミ問題
・食糧問題
の5つのテーマに分かれて、「問題解決に向けた取り組み方法」について議論しました。
特にCSOラーニング制度が終了してからも、どうやってこれまでの活動の経験を生かして
環境活動を続けていくかということを意識しながら議論しました。
私は気候変動のグループで参加していたので簡単に議論の流れを共有したいと思います。
気候変動は大きな問題なので、なかなか意識と行動が結びつきにくいところがあります。
1人の行動が大きな変化を生むことが期待しづらいからです。
それでも小さな変化が大きな変化を生むということでコミュニティーを作ったり、広報を
頑張ってみたり、エシカル消費などを進めていけばいいのではないかなどの意見が出ました。
詳しくは1月の定例会でまとめて発表なので期待していただければいいかなと思いますが、
是非ともラーニング生にとって、持続的に活動できるような提案になっていればいいなと
思います。
活動もラストスパートになってきますが、体調には気をつけて頑張っていきたいですね!
宮城地区チューター
平澤拓海
コメント[0]
2021
12,27
16:53
市民のための環境公開講座 12月8日(水)第9回
CATEGORY[市民のための環境公開講座]
こんにちは。SOMPO環境財団の瀬川です。
今回は12月8日(水)に開催された、「市民のための環境公開講座」PART3・第3回、
今年度最終回となる講座のレポートをお届けします。
今回はPART3「わたしたちにできる選択」の第3回として、食品ロスジャーナリストの
井出留美さん、NPO法人循環生活研究所・理事長の永田由利子さんを講師に迎え、
「食品ロスをなくす方法」をテーマに、対談形式で講演いただきました。
最初のパートでは、井出さんから「日本と世界の食品ロスの現状と対策」について
お話いただきました。一口に「食品ロス」と言っても、国際的には「Food Loss」と
「Food Waste」の2つの概念があります。「Food Loss」は生産から加工、流通までの
過程で発生する食品の廃棄のこと、「Food Waste」は小売・外食・家庭から発生する
食品の廃棄のことです。日本ではこれらをまとめて、「まだ食べられるのに廃棄される
食品」のことを「食品ロス」と呼んでいます。
では、日本ではどれくらいの食品ロスが発生しているのでしょうか。
農水省・環境省の推計によると、年間570万トンの食品ロスが発生しているとのことです。
これは世界で行われている食糧援助量420万トンの約1.4倍、別の表現をすれば、
東京都民が1年間に食べる食品の量と同等ということになります。
食品ロスの内訳は事業者と家庭でほぼ半々ですが、ゴミの処理について考えると、
また違う問題点が浮かび上がってきます。
事業者の出したゴミは産業廃棄物として処理されますが、小売店や家庭から出されたゴミは、
事業系一般廃棄物、家庭ゴミとして「税金で」焼却処分されることになります。
これにかかる費用は年間で2兆円にもなるとか!食品ロスの問題が環境だけではなく、
経済的にも大きな問題となっていることが分かります。
対策として、よく3R(リサイクル、リユース、リデュース)ということが言われますが、
井出さんによれば、最も重要なのは「リデュース(蛇口の元を締める)」ことです。
環境問題への取り組み、というとリユース、リサイクルが注目されがちですが、
発生する廃棄物の量を減らすことが最も有効な対策である、という事実から目を背けては
いけません。
廃棄量を減らすための対策としては、店舗で食品廃棄量を計測するという米国の取り組みや、
同じく廃棄量の見える化で成功した京都市の取り組み、韓国での生ごみ従量課金制などの
事例が紹介されました。また、福岡県大木町や宮崎県新富町で行われている、「生ごみ→
肥料化→食品生産」という食農循環の取り組みは、後段のコンポストにも繋がる事例でした。
続いて、永田さんからは「コンポストを使った楽しい循環生活」と題して、地域に密着した
ローカルフードサイクリングについてお話いただきました。主にコンポストを活用した、
「有機性廃棄物(いわゆる生ごみ)の資源化」を目指す取り組みです。
永田さんは2000年に福岡県でコンポストを活用した堆肥講座を始められてから、
徐々に対象を全国に広げ、指導者育成にも取り組まれています。
講座の受講者は現在までで延べ245万人以上!ということで、非常に精力的に活動を
推進されています。
コンポストの利点は何と言っても、生ごみを入れるだけ、という手軽さにあります。
家庭でも簡単に始めることができ、「食べ物が栄養となり、また次の食べ物となる」という
循環を感じることができます。
永田さんは半径2kmの小さな循環を「自分ゴトで捉えることができる範囲」として、
「ローカルフードサイクリング」を提唱し、地域の住民や企業を巻き込んで活動をされて
いるとのことでした。
「市民のための環境公開講座」では、受講者の皆さんに環境問題についての知識を得て
いただくことはもちろんですが、得た知識をもとに「行動」に踏み出していただくことを
大きなテーマとしています。
受講後のアンケートでも、「講座を聞いて何か行動してみようと思いましたか?」という
項目を必ずお聞きしていますが、今回の講座は「行動してみようと思う」と答えた方が
最も多い回となりました。(実は私も受講した日にコンポストを注文しました。)
今年度の講座は今回で終了となりますが、また来年の講座が開講されるまで、本講座を
受講された一人でも多くの皆さんが「行動」の第一歩を踏み出し、それが集まって
大きな力となることを願っております。
それでは、また来年の講座でお会いしましょう!
SOMPO環境財団・瀬川
2021
12,22
14:25
【CSOラーニング制度】2021年度12月関東地区定例会を開催しました!
CATEGORY[CSOラーニング制度]
こんにちは!
関東地区チューターの古田崚馬です。
もう12月ですね。皆さんはどんな一年だったでしょうか。今年の漢字は「金」だそうです。
個人的には「応」です。社会的な環境や地球環境はどんどん変化しています。
その変化を和らげることだけではなく、変化に合わせ、しなやかに変わることも必要だと
感じた一年間でした。
さて、2021年12月13日(月)に、関東地区第6回定例会がオンラインで開催されました。
11月の定例会から12月、1月にかけて、内容を固定して定例会を行っています。
一つは、派遣先CSOごとの発表です。活動内容のうち、印象に残っているものを1つ、
5分間発表します。
もう一つは、関心テーマごとの話し合いです。班員を固定し、継続して関心分野について
話し合います。
【第1部】CSOごとの発表(最も印象的だった活動)(70分間)
自分の団体での活動一つ振り返り、みんなにその活動の概要、達成できたこと、反省点、
気づき、そして活動の喜び等を共有します。12月は以下の6つの派遣団体からのプレゼンが
ありました。それぞれの要旨と、発表に対する感想や質問をまとめます。
①オーシャンファミリー[自然が先生である]
神奈川県の葉山で環境教育をしている。海は楽しさ、怖さ、自然への畏敬等を教えてくれる。
自然が先生であり、何よりも体験が大切。体験が子供達の一生の糧となり保全意識を育む。
多くの人と出会えたことが良かった。
(感想・質問)
・人が教えるのではなく自然から教わる精神が共感できた!
・オーシャンファミリーで環境教育を受けた子どもたちは、時間を経て自然や環境に対する
考え方がどのように形成されていくのか?
②CDP−Worldwide−Japan [現状の分析を踏まえた行動が大切]
企業や自治体における環境配慮の貢献度をアンケート調査・可視化し、結果を踏まえて
活動案を提案した。現状の分析と、その分析を踏まえて次の行動に移すことが重要だ。
シンポジウムに出席しCDPの影響力を実感した。
(感想・質問)
・調査対象が異なるとアプローチも異なるのか興味がある。
・指標化することは、様々な人が物事を判断・比較する際に有効な手段だと思う。
③JUON NETWORK [森林ボランティア活動を通して]
森林ボランティア養成講座では、現地で様々な背景をもつ人と接し自分の視野が広がった。
自然を身近に感じ、これは都市と田舎の架け橋だと実感。
また、コロナ禍で中止になった森林活動をオンラインで開催。クイズやデジタルフォトブックを
用いる工夫をした。一つのプログラムを作り上げる達成感があった一方、成果が数値として
見えず、参加者にとって意義があったのか疑問。やったことに満足せず成果を求めることを
意識したい。
(感想・質問)
・自分たちの活動も、今はオンラインだが実際に対面で行うと面白そう。デジタルフォトブックは
ぜひ取り入れたい!
④新宿環境活動ネット [子どもたちの興味関心が大切だ]
小学校への出前授業で、講師の話を聞かずに「柿」に夢中になっている子がいた。しかし、
大人がその興味を無視して別の教育プログラムを強いることに疑問。学校の先生は忙しいので
地域に根差すNPO等主体で子供達の興味関心を育むワークショップをつくりたい。
(感想・質問)
・市民社会組織の企画力が試されている。先生でも友達でもないNPOという「ナナメ」の
関係という表現が気に入った。
・子供向けの環境教育では、データや根拠を示せば納得してもらえるわけではない。
どういう工夫を凝らしていたか?
⑤日本環境協会 [エコプロ2021での経験]
エコプロ(※)に出展し、若者の目線から新鮮な展示案を考えた。他団体の展示からは、
今後に生かせそうな子ども向けの環境レクリーションを学んだ。
環境に対して知識のない人でも、話をすれば興味を持ってくれると感じた。
※エコプロ…企業やNPO等様々な団体が出展する、一般向けの環境配慮製品・サービス・
技術の展示会のこと。多くの児童、学生が社会科見学に訪れる。
(感想・質問)
・動画の字幕作成や展示、アテレコなど様々な情報発信スキルを磨かれていてかっこいい!
・自らが発信する立場になると、おのずと自分に足りない部分も見えてくると思う。
様々な人と接する中で、自分の中のどのような部分の知識が足りないと感じたか?
⑥森づくりフォーラム [水脈づくりのレクチャー]
防災×森づくりというテーマでの講義イベントで、運営補助をしつつ参加者の方と共に学んだ。
水脈を作ることで微生物が活発に働き、水や空気が通る土壌になる。見えない所でも自然が
生きていると実感。自主的に動けなかったのが反省点。
(感想・質問)
・教え合い、学び合いの中で交流が生まれるのはいいこと。
・イベントには様々な方が来られていたと思う。その人ごとに接し方を変えるなど、
参加者の方と交流される際、どのようなことに気を付けていたか?
今回も11月と同様に皆さんが体験されたことが良く伝わる個性的なプレゼンでした。
聞き手からの感想や質問はチャットにも書き込まれました。それらは後日まとめて返信される
予定です。
財団専務理事の西脇さんは、発表後に次のような感想を述べられました。
「私たち財団は皆さんが環境問題に携わるためのきっかけ作りをしているに過ぎない。
そこから先、皆さんがどう他の人に伝えていくかが重要。経験したことをこのように5分間で
伝えることはそのための機会の一つ。伝えることで自分のものになっていく。」
私も、この制度の中だけで、自分の中だけで完結せずに、周囲に影響を与える事でこの制度の
本当の意義があるのだと思います。
【第2部】関心テーマについてのディスカッション(25分間)
12月から1月の3ヶ月間で、関心分野ごとにその課題の解決方法について議論をします。
「その問題を解決するために私たちが取り組むこと」をラーニング生全体に発信することが
ゴールです。テーマは以下の6つがあります。
[気候変動・生物多様性・ごみ問題・エネルギー問題・エシカル消費・食糧問題]
今回は前回共有した問題点を踏まえ、問題解決に向けた取り組み方法を議論する回です。
私の班は生物多様性について話し合っています。グループのメンバーでそれぞれ興味のある
問題が異なり、各々について話しました。時間は25分間と短めだったので、今回は前回の
問題を振り返り、考える問題の大枠を捉えることに止まりました。これからの話し合いの
発展に期待したいです。
もちろん最終発表に向けて結論を出すことは大切です。しかし、それ以上に皆で意見交換を
する機会があることが重要です。定例会の時間だけでは十分に話し合いをすることは出来ないと
思うので、各グループで集まって交流してみましょう。
定例会は残り1回となりました。11月から始まった活動紹介のプレゼンは、皆にとって
とても有意義な時間だと感じます。発表者は自身の活動を整理することで、日々の気づきや
学び、反省点を明らかに出来ます。聞き手は同期の学生のものの見方を知ることができ、
視野を広げることが出来ます。この制度は、環境系CSOへの長期インターン制度です。
しかし、それは表面上の説明です。一人ひとりが主体的に何かを得るための制度だと思います。
既に環境分野や市民社会組織という言葉の枠を越えた自分なりの経験をしている人もいるのでは
ないでしょうか。残り少ないですが悔いのないように活動しましょう!
関東地区チューター
古田 崚馬
コメント[1]
2021
12,16
14:09
市民のための環境公開講座 12月1日(水)第8回
CATEGORY[市民のための環境公開講座]
こんにちは。SOMPO環境財団の瀬川です。
12月1日(水)に開催された、「市民のための環境公開講座」PART3・第2回の
レポートをお届けします。
前回から今年度の講座で最後のパートとなる、PART3「わたしたちにできる選択」について、
全3回の講座が行われています。
第2回となる今回は「流域人として暮らす」のテーマで、水ジャーナリスト、アクアスフィア
水教育研究所代表の橋本淳司さんに講演いただきました。
皆さんは、自分がいまどの「流域」に暮らしているかを知っているでしょうか?
また、私たちが生活で使用している「水」はどこから来て、どこに行くのか考えたことが
あるでしょうか?
本講座は、橋本さんのこのような問いかけから始まりました。
講座のタイトルにもなっている「流域」という考え方は、都道府県や市町村などの行政区分で
地域を分ける考え方とは異なり、「どの水源から水を得て生活しているか」という観点で、
私たちの居住する場所を捉えなおすものです。
例えば、群馬県から栃木、千葉、埼玉、東京にまたがる広大な地域は、まとめて「利根川流域」
と考えることができます。(余談ですが、この流域別の地域区分は江戸時代の藩の分け方と
よく似ているそうです。)
SDGsをはじめとする目標は、国際的な課題を共有するという意味ではとても意義深いもの
ですが、目標が大きすぎて日々の生活に落とし込みづらいという側面もあります。
「流域」という単位はより生活に密着したものであるため、この範囲の中で「水」を切り口に
様々な問題に取り組むことで、生活に根差した取り組みがしやすくなり、引いては社会全体の
大きな課題解決につなげることができます。
橋本さんが冒頭に提示したもう一つの問いについてはどうでしょうか。私たちが生活で使用
している「水」と言えば、雨水、水道水、飲料水などが一般的に思い浮かぶと思います。
しかし、実は私たちが日々購入している食料品や衣服なども、生産される過程で非常に多くの
水を使用しています。例えば、肉じゃがに使用する材料だけをとっても、実に1,500リットル以上
の水が使われていることになります(このような考え方を「仮想水」と言います)。
これは、豚肉の生産のために海外で生産された大量の飼料が使われており、その生産過程で
使用する水が含まれると考えるからです。
私たちは自分が思っているより遥かに多くの水を使用して生活していることが分かる、非常に
象徴的な事例でした。
橋本さんからは、企業による水の使用についても問題提起がなされました。例えばアパレル企業
を考えると、私たちが手に取る商品には「水」のイメージがあまりありません。
しかし、その生産過程を考えると、原料となる綿花の生産、染色過程では大量の水を使用している
ことがわかります。しかも、これらは食料の例と同様に海外で生産されていることが多いため、
結果的に国をまたいだ多くの流域に影響を及ぼしているということになります。
水の利用に関しては、企業は①操業リスク、②財務リスク、③法的リスク、④評判リスクなど
様々なリスクをはらんでおり、今後は今まで以上に健全な水の利活用が求められるとの指摘が
ありました。
個人的に非常に重要だと感じたのは、令和3年7月に「流域治水関連法」が改正されたという
お話です。改正前は、法律での治水対策の対象は河川区域に限定されており、主体も河川管理者
と定められていました。しかし、改正後は集水域や氾濫域を含めた「流域」全体での治水を
行うこととされ、主体も流域に所在する自治体・企業・住民(流域人)が担うことになりました。
これからは流域というコミュニティの実態に合わせた管理が必要となり、例えばインフラの
ダウンサイジングや、水田や森林の貯水機能の保全、水力を活用したエネルギーとの連携など、
水を切り口に様々な地域課題に取り組むことが求められることになります。
気候変動などの環境問題は、知識としては危険性を認識しているものの、スケールが大きすぎて
実感を伴いづらい(=行動に繋がりづらい)という課題がついて回ります。
水という、私たちにとって最も身近な自然の恩恵を意識することで、結果的に森林保全、
エネルギー、食糧といった様々な問題の関連に気づくというアプローチは、身近な行動変容を
促すという意味で非常に有効なものに思えました。
「コミュニティとしての流域」の今後の広がりに期待したいと思います。
次回PART3第3回は、12月8日(水)13時30分から、
「食品ロスをなくす方法 日本と世界の食ロス削減最前線」をテーマに、今年度では初めて
となる、対談形式での講座をお届けします。(※)。
講師は食品ロス問題ジャーナリストの井出留美さん、NPO法人循環生活研究所理事長の
永田由利子さんのお二人です。
※講座は既に終了しております。
SOMPO環境財団・瀬川
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