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2021
09,21
14:11
【CSOラーニング制度】2021年度9月・関西・愛知・宮城地区合同定例会を開催しました!
CATEGORY[CSOラーニング制度]
初めまして!
宮城地区チューターの平澤拓海です。
だんだんと恒例になりつつある定例会ですが、今月も9月16日(木)に関西、愛知、宮城の
3地区合同の第3回が開催されました。
9月の上旬には、全国合宿も開催され、だんだんとラーニング生の顔つきが柔らかくなってきた
印象があります。
今回の内容は以下のとおりでした。
①CSO講演 アサザ基金・飯島様
②ラーニング生交流パート
① CSO講演 アサザ基金・飯島様
ラーニング生活動用のフィールドである「かっぱん田」を管理していただいている
アサザ基金
の飯島様から谷津田を通じた活動の意義やラーニング生との連携に
ついて講演いただきました。
簡単に内容をまとめます。
現在、長引くコロナ渦で疲弊している方も多いでしょう。コロナウイルスは現在の社会のあり方、
すなわち選択と集中、合理化、密集型の社会に大きな問いを投げかけています。
その中で環境や里山などこれまで置いてきぼりにしてきた価値が少しずつではありますが再認識
されつつあります。その取り組みの一つがアサザプロジェクトであり、かっぱん田です。
かっぱん田は、茨城県、牛久沼の水源地である『遠山の谷津田』と呼ばれる谷の先端にあります。
周囲の森林からのわき水が湧き出し、サワガニやホタルなど貴重な生物も住む自然豊かな場所
ですが、高齢化などに伴い耕作放棄地が増えていました。
その中で、我々の先輩であるアサザ基金のインターン生を中心として、地元の中学生、市民など
多くの人を巻き込みながら里山の再生に臨みました。
どうやったら、荒地を里山として自然に働きかけることができるかを中学生とともに考え、作業
する中で、取れたお米でせんべいを作るなど地元の経済に働きかけるような動きも出ていたそうです。
結果10年ほど経った今、里山はかなり再生されてきているようで、鷹やカエルなど多くの
生き物が戻りつつあるようです。
非常に興味深いお話で私自身もいくつか考えることがあったので、感想を以下に述べられれば
と思います。
・価値のリデザイン
今世の中全体がこれまでの価値を見直している段階にきているのは間違いないと思います。
それは世界全体の脱炭素社会の推進や、SDGsの認知度からしても明らかにこれまでの
経済だけを合理化した社会の見直しが迫られています。
その中で里山は、人々特に日本人が見直していく大切な価値観が備わっているように思います。
我々は自然から多くのものを享受しています。水や食物、酸素や土壌の循環、一つ一つが
欠かせず私たちの生活を支えています。
しかし、都会中心型の社会だとそういった自然の恩恵を受けていることをついつい忘れがちに
なってしまいます。
そんな中で里山に入って、実際に自分の手で自然に働きかえること、生命の恩恵を受けながら、
手入れをすることで恩返しをすること。これは日本人が古くから大切にしてきた共生の
価値観に他ならないと思います。
また、管理ではなくて働きかけをするという言葉も印象的でした。
ルールを設けて、二酸化炭素を排出しない、プラスチックを使わないということもやはり
必要ですが、その中にあまり持続可能な社会としてのビジョンが見出せません。
私自身、環境問題の解決という言葉を多用してきましたが若干の違和感がありました。
多分それは人々の自然を大切にしていく、働きかけていくという意識の先に持続可能な社会を
作る必要があるということなのでしょう。この意識がひいては国際社会の中で日本が働きかける
ことのできる価値にもつながってくると思います。
・ネットワークの拡大
かっぱん田の取り組みは非常に先進的であり、参考になる部分は多いですがこれ一つでは
なかなか社会全体として持続可能な形には近づいていきません。
そこで、ネットワークの拡大ということが必要になり、飯島様もそのような課題について言及
されていました。
やはりそういった時に思いつくのがラーニング生の存在です。
全国各地で活動するラーニング生がかっぱん田のような取り組みを知り、自分たちの場所で
そのような活動を広げていくことで里山の保全が社会全体に広がっていくのかもしれません。
ただ、学生だけでもどのように行動したらいいのか、何から始めればいいのかがわかりづらい
と思うので、そのような時のためにNPOやSOMPO環境財団、チューターもしくは行政のような
組織が後押しできるような形があれば好ましいと感じました。
耕作放棄地や若者の農業離れが叫ばれて久しいですが、少しずつではありますが農業や
里山の価値も見直されつつあるように思います。経済や環境との両立など課題も多いですが、
変化の波に私自身も乗れればと思います。
②ラーニング生交流パート
今回はテーマは特に定めず、1グループ五人程度で最近の悩みや今回の講演の感想など
自由に交流しました。
今年もコロナウイルスの影響で顔を合わせて話すということができないため、こうした交流の
機会は貴重なものだったと思います。
私のグループでは、里山の働きかけについて自由な形で議論し、どうすれば社会全体に広げて
いくことができるか、私たちが近場で参画するにはどうすればいいか、どういうものが里山と
呼べるのかなど、なかなか興味深いテーマで話すことができました。
他のグループでは、自分たちのCSOについての紹介だったり、地元トークなどで交流が進んだ
ということで中身のある交流になったのではないでしょうか?
季節の変わり目でもあり、CSOも後半戦に入ってきていますが、それぞれのフィールドで
積極的に活動を進めていただきたいですし、私もそれをサポートできればと思います。
宮城地区チューター
平澤拓海
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2021
09,21
13:47
【CSOラーニング制度】2021年度9月関東地区定例会を開催しました!
CATEGORY[CSOラーニング制度]
こんにちは!
関東地区チューターの古田崚馬です。
最近は窓を開けると、セミよりもコオロギの鳴き声の方が大きくなってきました。
秋が近づいてきましたね。肌寒い時間も増えてきました。体調管理には気をつけましょう!
さて、2021年9月13日(月)に、第3回関東地区定例会が開催されました。
今月は初旬にオンラインでの合宿が開催され、また先週にはインドネシア交流会に
向けた勉強会もあり、メンバー同士が例月よりも頻繁に顔を合わせています。
その甲斐あってか、今月は先月よりも交流が活発になったような印象を受けました。
【第1部】認定NPO法人アサザ基金代表 飯島博 氏の講演 18:00〜19:00
アサザ基金は、霞ヶ浦をフィールドに市民型公共事業である「アサザプロジェクト」を
実施しており、かつてのCSOラーニング制度の受け入れ団体です。
アサザ基金、ラーニング生、及びそのOB・OGが協働で運営する耕作放棄地の田んぼ
「かっぱん田」を通して、SOMPO環境財団とは現在でも関わりがあります。
アサザプロジェクトでは、多様な主体をつなげながら、湖岸植生の復元、外来魚駆除、
耕作放棄された谷津田というかつての里山的環境の再生等に取り組んでいます。
飯島さんによると、この事業には次のような特徴があります。
第一に、中心に組織のないネットワークの構築。
従来の行政を中心としたピラミッド型ではなく、多様な主体が「場」を中心につながる
ネットワーク型の社会の構築を目指しています。
第二に、自然保護ではなく価値創造による水源地の再生。
新しい人、モノ、カネの動きを作り出し、環境保全と地域活性化を同時に実現します。
例えば、谷津田を再生して作られた地酒が誕生しました。
第三に、子どもたちの総合学習との協働。
170校を超える小学校が参加し、自然再生事業やまちづくりの提案に流域の小学生が
参加します。これらは環境教育につながります。
このように、アサザプロジェクトは市民、NPO、行政など多様な主体が「場」でつながり、
自然保護に限らず、新たな価値の創造や持続可能な社会の構築を目指した取り組みです。
講演の中盤では飯島さんから次のような問題提起がありました。
「選択と集中から対話的分散への転換は可能か」
対話的分散とは、集約できず、資源化の対象外とされてきたモノやコトを結ぶ新たな概念です。
その概念を生かしたネットワークを作り、社会に新たな価値を浮上できないかということです。
飯島さんは、コロナ禍での集中化集約化による社会のリスクにも触れられ、これからの社会は
中心のない自然のネットワークに重なる人的社会的なネットワーク(対話的分散)に移行する
べきであり、自然との共生こそが社会にイノベーションを生み出すのだとおっしゃいました。
つまり元々その地域に存在していた人々のつながり、自然のつながりに価値を見出す必要が
あるということです。
この問いに答えはありません。
持続可能な社会の構築に向けて、極めて重要な問いであると考えます。
【第2部】交流会 19:00〜19:30
飯島さんの講演後は、ラーニング生同士での自由な交流会が開かれました。
今月は4、5人の少人数グループでの交流会。進行役やテーマがなく自由です。
私のグループでは、各自どんな活動をしているかを共有しながら、話は学生生活のことから
遠隔での作業の難しさ、英語学習の方法、アジア人差別の現状まで広がりました。グループ内で
海外の大学に進学した学生がいて、日本では分からない海外事情にみな興味津々でした。
また、遠隔での活動の難しさについては、モチベーションの維持や、専門用語が出てきた時に
職員にすぐに聞けないことなどが挙げられました。
悩みを共有でき、有意義な時間を過ごせたのではないでしょうか。
CSOラーニング制度はちょうど折り返しの地点に到達します。
活動に慣れてきて、自分たちの活動に関して他の学生に意見を求める現役生も出てきました。
とても理想的な横のつながりだと思います。
一方で思い通りに活動が出来ていないと感じる人もいます。こういう遠隔の活動は自主性が
大切だと考えます。対面で会う時は人と会うだけで何かしら刺激があるものですが、
遠隔の場合は緊張感が薄れ、自ら工夫をしなければ退屈なものになってしまいがちです。
会議の前にシャワーを浴び、着替えると集中しやすいでしょう。通信状況は自分でベストな
状態にしておきましょう。分からないことをすぐに調べやすいのはオンラインの利点です。
講演では話を聞くのは前提ですが、隙間時間に気になる点をサッと調べて一歩踏み込んだ
質問をしていた学生もいましたね。
財団の西脇さんも合宿でおっしゃいましたが、この活動を充実させるのも、退屈なものに
させるのも自分次第です。
関東地区チューター
古田 崚馬
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2021
09,08
10:36
市民のための環境公開講座 9月3日(水)第1回
CATEGORY[市民のための環境公開講座]
こんにちは。SOMPO環境財団の瀬川です。
9月1日(水)18時00より、「市民のための環境公開講座」の通年講座第1回が
開催されましたので、当日の様子をレポートいたします。
第1回は、東京大学未来ビジョン研究センターの髙村ゆかり教授を講師に迎え、
「2050年カーボンニュートラルに向かう世界~気候危機と『変化』の中の地域と企業」を
テーマにお話しいただきました。
講座は、近年の異常気象による多大な人的被害、莫大な経済損失についての説明から
スタートしました。このデータが私たちに示しているものは、気候変動対策は2030年、
2050年までに解決をする「少し先の問題」ではなく、喫緊に迫った、私たちの「いのちと
財産を守る」ための課題だということです。これが同時に、私たちが2050年カーボン
ニュートラルになぜ取り組むか、という答えでもあります。
続いて、先日発表されたばかりのIPCC第6次評価報告書をもとに、現在の気候変動は
人間の活動によってもたらされていること、今後のわたしたちの取り組みにより災害の
頻度・強度が大きく変わるというシミュレーションが示されました。
パリ協定で定められた2℃目標にとどまるか、努力目標とされた1.5℃目標を達成できるかで、
災害の強度や生態系への影響は2倍以上の差があります。そして、1.5℃目標を達成する
ためには、一見不可能にも思える、「2050年にカーボンニュートラルを達成する」という、
急速かつ大規模な取り組みが求められることになります。
日本が掲げた「2030年までに温室効果ガス(GHG)を46%削減する」という目標については、
「今のままでは達成できない」というお話もありました。
実は現在私たちが行っている対策をすべて継続しても、GHGは「増えもしないが減りもしない」
というレベルであり、目標との間には「ギガトンギャップ」が存在しているとのこと。
「なぜ実現不可能に思われる目標を掲げるのか」という問いに対しては、持続可能な未来を
実現するためにどれだけの課題があり、どれほどのイノベーションが求められるか、
私たち全員が共有するための目標である、とのお話がありました。
後半では各国や企業の取り組みをご紹介いただきました。コロナからの復興に気候対策を
織り込む「グリーン・リカバリー」や、域外からの輸入品に炭素排出量に応じた支払を義務付ける
「炭素国境調整措置(CBAM)」など、EUの施策に特徴的なものが多かった印象です。
もちろん、日本でも2030年、2050年に向けて意欲的な目標を掲げる自治体や企業が多くあり、
サプライチェーンや顧客まで含めたカーボンニュートラルを達成するという、日立製作所の
目標などが紹介されました。
気候変動対策に取り組むことは、すでに企業や自治体にとって単なる「環境」問題では
ありません。実際に、近年のESG投資への関心の高まりなどを受け、企業にとっての
気候変動問題は企業価値を左右する「本業の問題」とイコールになっています。
他方、自治体にとっては、気候変動問題に取り組むことで地域を活性化し、災害への
レジリエンスを高めるプラスの側面も秘めているとのお話も印象的でした。
また私たち個人に対しては、足元からの取り組みとして「長く使うもの(家、車など)を
購入する際は、2050年目標に整合的なものを」というお話がありました。
気候変動問題は私たちの「いのちと財産を守る」ための課題であるという強いメッセージ、
そして企業や自治体、個人がこの問題にどう対峙すべきか、2050年に向けた道標を示して
いただくような、今年度第1回にふさわしい講座となりました。
次回は9月15日(水)18時から、
「「脱炭素社会」の構築に大いに資する「ISOPシステム」について」をテーマに、
サステイナブルエネルギー開発株式会社・代表取締役の光山昌弘さんに講演いただきます。
ぜひご視聴ください!
<市民のための環境公開講座・お申込み>
https://www.sompo-ef.org/kouza/kouza2021/
SOMPO環境財団・瀬川
2021
08,26
11:11
【CSOラーニング制度】2021年度8月・関西・愛知・宮城地区合同定例会を開催しました!
CATEGORY[CSOラーニング制度]
はじめまして!
愛知地区チューターの岸拓実です。
8月19日(木)に関西、愛知、宮城の3地区合同の第2回定例会が開催されました。
今回は参加人数の都合で愛知と関西が合同のグループでした。
内容は関東地区同様に以下の2つでした。
①環境版キリンメーター
②海外の方に伝えたい日本の環境問題とその手段
①環境版キリンメーター
関東地区のブログを参考にしていただければわかりますが、5つの環境問題に関わる
数字の最大と最少のものを当てる、という内容です。問題はこんな感じです。
私の参加したグループでは、メンバーそれぞれの持つ知識やヒントを上手く活用し、
時間内に正解にたどり着くことができました。なんと5つの問題すべて近い数字を
当てていました。すごいです!ちなみに答えはこちらになります。
②海外の方に伝えたい環境問題とその手段
このテーマを扱うに至った経緯は関東地区同様のため省略します。
グループごとの意見は以下の通りです。
【グループ1】
環境問題:食品ロス
食品ロスに関わる日本と海外の違いや現状を出し合いました。日本はでは期限が
迫った食品を安くして販売していますが、海外ではホームレスの人にあげている、
という違いがあります。また、日本では、民間によるフードバンクやドギーバッグ、
ダンボールコンポストなどの普及や、政府による食品ロス削減推進法の制定などの
食品ロスに対する対策があります。
【グループ2】
環境問題:自然災害
インターネット記事やSNS、動画配信によって情報を発信しても興味のある人しか
見ないのではないかという意見から、自分の生活、特にお金に関わることであれば、
誰でも興味を持つのではないだろうかという意見が出ました。
例えば、台風による被害で農産物の収量が減少し、価格が高騰した場合、なぜ価格が
上がったか記載して販売することでより多くの人に環境問題を伝えられると考えて
いました。また、情報発信に関し、サムネイルの持つ効果を重要であると考え、
一目で興味を持たせるものを作ることが良いという意見も出ました。
【グループ3】
環境問題:ゴミ問題
過剰包装、農産品の品質チェックの厳しさ、土地の狭さなど、日本特有の事情から
生じている問題として、ゴミ問題をテーマとして議論しました。
伝える手段としてはSNSや外国人労働者に向けたワークショップ・セミナーが挙げられ、
海外の方にも分かりやすいよう、江戸の循環型社会をイラストで現代社会と比較する
展示や、”もったいない文化”紹介などのアイデアが出ました。
他にも、生産者の苦労を知ってもらう体験型の取り組みや、オリンピックのような
国際的に注目を集める場での紹介などの意見も出ました。
【グループ4】
環境問題:ゴミ問題
無駄なものをなくすという問題発生の上流の視点からゴミ問題について考えて
くれました。企業がどれくらいの廃棄物を出しているかという具体的なデータの
開示をすること、その開示のハードルを下げるために国が企業に協力することが
必要であるという意見がありました。また、日本と海外の状況を照らし合わせること、
絵本などを利用して多くの人の理解促進に努めることなどの意見もありました。
各グループ様々な視点からの意見を出すことができました。皆さんが様々な分野に
アンテナを立てていることがわかり、知識、情報を役立てようとしている姿が印象的でした。
最後に、ありきたりなことを発信するのではなく、ターゲットを明確にし、
あえて狭い範囲の人に発信することも大切であるというお話をいただきました。
各CSOの活動の中で役立てらえることが少しでもあると良いですね。
9月はオンライン合宿やインドネシアとの交流会もあります。普段は別々に定例会を
行っている関東地区の皆さんとも交流します。お互いに新たな刺激を得られると思います。
昨年は合宿が実施できなかったため、私も初参加となります。
現役生の皆さんと共に学び、成長できることを楽しみにしています!
愛知地区チューター
岸拓実
コメント[0]
2021
08,23
14:12
市民のための環境公開講座 8月21日(土)特別講座
CATEGORY[市民のための環境公開講座]
こんにちは。SOMPO環境財団の瀬川です。
8月21日(土)、2021年度「市民のための環境公開講座」の特別講座が
開催されました。
テーマは「震災後10年の気仙沼の海から、人と自然のつながりを考える」です。
この特別講座は9月1日から始まる全9回の通年講座とは少し趣向を変えたもので、
参加者は20名限定、気仙沼の海とLIVE中継をつなぎ、受講者と講師の双方向の
やり取りに重点を置いた、新たな試みとなっています。
講師の畠山信さんは、気仙沼の舞根(もうね)湾で牡蛎漁師として生活しながら、
NPO法人森は海の恋人の副理事長として、自然環境の調査、保全、環境教育などを
幅広く実施されている方です。東日本大震災後は、復旧・復興事業に奔走する傍ら、
震災後の自然環境を生かした環境づくりに取り組まれています。
震災後10年が経過した現在、最前線で復興に取り組まれてきた畠山さんより、
震災で得たもの・失ったものは何か、発災直後に思い描いた未来像は実現できたのか、
様々な取り組みが成功・失敗した原因は何だったのかを語っていただきました。
冒頭、畠山さんご自身の被災経験についてお話がありました。船を守るために
沖合に出たところ、10mの灯台が沈んでしまうような津波に飲まれ、命からがら
陸地まで泳いで生還されたとのこと。淡々とした語り口ですが、壮絶な内容に
息をのむ思いでした。
何もなくなったふるさとを眺めながら、「ここが底辺、町はこれから良くなるという
根拠のない確信があった」という言葉どおり、畠山さんはすぐに復興に向けた
調査を開始されます。
畠山さんの想いは、「震災で2回、自然が破壊される」ことを防ぐこと。海岸に10mの
防潮堤を建て、川をコンクリートの護岸で埋めてしまうことは、自然の生態系を壊す
ことでもあります。住民や行政との粘り強い交渉、綿密な調査による理論武装の結果、
畠山さんの活動された舞根地区は、三陸海岸で2カ所だけという、防潮堤なしでの
集落再建を実現されました。
また、震災によって「得たもの」があるというお話も印象的でした。
津波により海水が遡上したことで、舞根湾のほど近くにあった耕作放棄地が新たに
「塩性湿地」に生まれ変わったそうです。
海水と真水が入り混じる環境は非常に貴重なもので、新しく豊かな生態系が育まれて
いるとのこと。畠山さんはこの新たな生態系を守るための活動もされており、
これが「復興工事で護岸を壊す」という日本初の取り組みに繋がったのだとか。
当日はこの湿地とも中継を繋ぎ、講座前日に50cmのウナギが見つかったという
エピソードが受講者を驚かせていました。
後半は、畠山さんに舞根湾へと船を出していただき、船上で質疑応答の時間です。
受講者からは震災前後の変化について多く質問が集まりましたが、この10年で
漁業インフラはほぼ回復し、昨年は震災前の90%もの生産量を達成されたとのこと。
特殊な器具で海中のプランクトンの様子も見せていただき、豊かな自然が復活して
いることが伝わってきました。
全体を通して、「自然の回復力は非常に強い。この力をどう妨げずに活かすか」という
言葉に、本講座の内容が凝縮されていると感じました。
舞根地区の、美しい海と緑に囲まれた現在の姿は、防潮堤や護岸工事で「自然の回復力を
妨げない」ために、畠山さんたちが10年間取り組まれてきたからこそ実現したものです。
そして、自然にとってはある意味短いともいえるこの10年間の取り組みの違いがもたらす、
三陸海岸の他地区との景色の差は非常に衝撃的なものでした。
私たちの日々の営みがどれだけ大きく自然の在り方を変えるのか、多くの示唆をいただく
講座となりました。
9月1日(土)からは全9回の通年講座が開始します。
第1回は「2050年カーボンニュートラルに向かう世界 気候危機と「変化」の中の
地域と企業」をテーマに、髙村ゆかりさんにご講演いただきます。
オンライン・無料講座となっておりますので、ぜひお申し込みください!
<市民のための環境公開講座・お申込み>
https://www.sompo-ef.org/kouza/kouza2021/
SOMPO環境財団・瀬川
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