2021 09,22 17:44 |
|
第2回はサステイナブルエネルギー開発株式会社代表取締役社長の光山昌弘さんを講師に迎え、 端的に説明すると、「燃えるものなら何でも分解してバイオ石炭にできてしまう」という装置なのです。
燃えるゴミはもちろん、輸出禁止で大きな問題になっているプラスチックごみ、医療廃棄物、
廃棄食品、畜産糞尿や害獣の死がいまで、すべて「資源」として活用し、バイオ石炭に 変えることができてしまいます。 このバイオ石炭は、石炭と同等のエネルギー密度・撥水性を持っており、石炭の完全代替物 として機能します。 つまり、現在の石炭火力発電所の施設をそのまま利用して発電することができるため、 実質的に石炭火力発電所をバイオマス発電所に転換することができてしまうという仕組みです。 このシステムを活用すれば、温室効果ガスによる地球温暖化問題をはじめ、フードロス問題、
Covid-19により深刻化している医療廃棄物問題、廃棄プラスチック問題、災害時のライフライン確保など、 様々な社会課題が解決できるというビジョンが示されました。 光山さんが起業に至った経緯は、東日本大震災でした。光山さんは2009年にNEDOの事業として
行われていた「下水汚泥を固形燃料として活用する」という事業をきっかけに、震災後の南三陸町で 避難所に浴場を設置する活動に取り組まれていました。 その際、「被災地で発生する大量の廃棄物をエネルギーに転換することができれば、多くの人を 救うことができる」という着想を得て、現在の事業を起こされたとのことです。 第2部では、ISOPシステムの技術的な仕組みについて、説明いただきました。 専門的な内容が多く含まれたため詳細は割愛しますが、難解な内容にも関わらずポイントが 分かり易い、非常に明快な解説をいただけました。 コア技術として「亜臨海水処理」という技術が使用されていること、ISOPシステムのエネルギー 効率の高さや温室効果ガス削減効果など、実証データを交えてお話いただきました。 第3部はISOPシステムがターゲットとする市場規模や製品ラインナップ、今後の開発テーマ などをお話いただきました。こうした内容が聞けるのも、事業会社を経営されている方の お話ならではですね。 講演では各部ごとに質疑応答の時間が設けられていましたが、具体的なコストや必要資格などの 導入ハードル、メンテナンスや耐用年数など、非常に実務的な質問が多く、導入を真剣に 検討される方が多くいらっしゃったことが感じられました。 また、被災地で光山さんの設置した浴場を利用されたという方からのコメントもあり、その瞬間 光山さんの表情がふっと和らいだ様子も印象的でした。 なお、無敵のシステムに思えるISOPシステムですが、今後のハードルとしては、資源となる 「不要物」の量の確保、自治体などで採用してもらうための実績の積み上げ、操作の簡易化 (現在はボイラー技士免許と匠の技が必要)や車にも積めるような小型化などが課題として 挙げられていました。 今回の講演、私は途中まで「未来の夢の技術」の話を聞いているのかと思いました。 取り上げられているISOPシステムが、私たちの抱えている社会課題の大半を解決する技術に 思えたからです。そのため、既に実現しているシステムということを聞いて大変驚きました。 大げさかもしれませんが、こういった技術的なイノベーションが積み重なれば2030年、2050年の 脱炭素目標も達成できるのではと、希望を抱かせてくれる講演でした。 次回は9月29日(水)18時から、「サンゴとサンゴ礁生態系の現状」をテーマに、
東京経済大学全学共通教育センター准教授の大久保奈弥さんに講演いただきます。 ぜひご視聴ください! <市民のための環境公開講座・お申込み>
SOMPO環境財団・瀬川 |
|