2021 11,02 11:59 |
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こんにちは。SOMPO環境財団の瀬川です。
10月27日(水)に開催された、「市民のための環境公開講座」PART2・第2回の
レポートをお届けします。 今回は株式会社スノーピーク地方創生コンサルティング代表取締役会長の後藤健市さんを
講師に迎え、「野遊びSDGs」をテーマに講演いただきました。 スノーピークといえば今大人気のキャンプ用品を手掛ける会社というイメージですよね。
講師の後藤さんが代表を務める「スノーピーク地方創生コンサルティング」は、そんな スノーピークが「地域活性化」「地方創生」事業を手掛けるために2017年に設立した会社です。 各地にある遊休地をキャンパー目線の「遊び場」として捉えなおし、食やアクティビティなどの ソフト開発も行うことで、新たな魅力を見出す事業を行われています。 後藤さんは非常に「言葉」にこだわりを持った方で、講演の中でも随所になるほど、とうならされる
「言葉遊び」が散りばめられていました。(「競争社会」⇒「共創社会」、「市民」⇒「志民」、 「失敗」⇒「未成功」などなど) こうした「言葉に想いを込める」という考え方は、幼少期に全盲の祖父と接する中で育まれたそうです。
後藤さんの祖父は目が見えないということで決して後ろ向きにならず、「目が見えない からこそいろいろなことができる、言葉を大切にできる」と前向きにとらえる方で、その思いを 「愛盲」という言葉で表していたとのこと。 後藤さんもこの思いを受け継ぎ、言葉を大切にすることで、「すべての今を受け入れる」、
「利他主義、未来利益」などといった現在の活動を支える思考に至ったそうです。 講演の中では沢山の美しい自然の風景がスライドに映し出されました。
(今回の講演は総スライド数250枚超!) しかしこうした美しい景色を見ても、近くに暮らす住民の方たちは「何もない田舎」と表現する ことが多く、そこに価値を見出すことがなかなかできないそうです。 ここで少し視点を変えて、「余計なものが何もない(=豊かな自然の空間・環境がある)田舎」 と捉えなおすとどうなるでしょうか? 例えば畑の中にパラソルを立て、デッキチェアに座ってワインとチーズを楽しむ、という体験を 提供すると、「まるで南仏プロヴァンスのよう!」とはるばる飛行機に乗って現地に赴く人たちが 多数いるのだとか。(それが北海道の雪原の中であっても!) 地方創生というと、一昔前はいわゆる「ハコモノ(ハード)」頼み、というイメージがありましたが、
このように場所を活かす(ハード&ソフト)発想を持つことで、「場所の価値を上げる」ことが できるというお話は、非常に納得感のあるものでした。 また、ここで訴えているのが「遊び場」としての価値であるということも重要です。
遊びを求めるのは人間の根源的な欲求で、人間の文化はすべて遊びの中で生まれた(『ホモ= ルーデンス』)という主張もあるくらいです。 この「遊び場」としての価値を訴求し、地域を活性化することで、SDGsに代表される社会課題の 解決を目指すことが、講演のタイトルでもある「野遊びSDGs」の神髄と言えるでしょうか。 後藤さんからは、「ハードだけではなくソフト面で価値を創出することで、人と人のつながりが
生まれる」という大切な言葉もありました。 人のつながりが生まれることで、その場所は何度も訪れたくなる「第二の故郷」となり、量だけ を頼りにしない、質を伴った地域活性化を実現することができます。 他にも、世界にとっての日本の魅力、グローバル・バリューやグローバル・エッジを意識する ことが重要など、講演時間に収まりきらないような熱いメッセージをたくさんいただきました。 過疎化に悩む地域同士が、地域活性化のために国内の限られたパイを奪い合い、「競争」をして
勝ち組・負け組が生まれてしまう…というのは大きな社会課題の一つです。 今回の講演で示された「野遊びSDGs」の考え方には、「競争」を避け「共創」に向かう多くの ヒントがあったのではないでしょうか。 次回は11月10日(水)18時から、「カーボンニュートラルな世界を目指す、オールバーズ」
をテーマに、オールバーズ日本法人マーケティング本部長の蓑輪光浩さんに講演いただきます。 ぜひご視聴ください!
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SOMPO環境財団・瀬川 |
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