こんにちは。SOMPO環境財団の瀬川です。
9月7日(水)に開催された、2022年度「市民のための環境公開講座」の第4回をレポートします。
「認識から行動へ ―地球の未来を考える9つの視点―」をテーマとして、全9回でお送りしている
「市民のための環境公開講座」も中盤に入り、ますます注目です!
今回は株式会社クラダシ代表取締役社長の関藤竜也さんを講師に迎え、「誰でも気軽に楽しく
食品ロス削減に参加できるクラダシ」をテーマにお話しいただきました。
講座の前半では、現在の地球が直面している資源問題、ごみ問題、食料問題や気候変動などの
環境認識から、サーキュラーエコノミーやSDGsの考え方などについて丁寧なご説明がありました。
なかなかクラダシの事業についてのお話が始まらないので、そちらを目当てにされていた方の中には
あれ?と感じた方もいるかもしれません。
私もはじめ同じ感想を持ったのですが、お話を聞くうちに考えを改めました。
クラダシのミッションは「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」「日本で最もフードロスを削減する会社」。
そもそも事業の目的が「社会課題を解決すること」なので、社会課題についてしっかりと語ることは、
企業の成り立ちについて語ることとイコールなんだ、と気づいたからです。
関藤さんは、阪神大震災や商社時代の中国で見た大量生産・大量消費の現状を原体験に、
「ビジネスの力で課題解決をしよう」という思いで、クラダシを設立されました。
前段で語られたような環境問題の現状は、少し興味のある方なら誰でも聞いたことがある内容だと思います。
しかしそれを自らのミッションとして、会社を辞めて起業できる人はほとんどいないのではないでしょうか。
ミッションドリブンな企業とはこういうものなんだな、と感銘を受けるとともに、社会課題の解決をビジネスに
結び付ける考え方は、私たちの目指す「認識から行動へ」の新しい姿の1つと感じました。
さて、本題であるクラダシの事業は「賞味期限が残り少ない食品を、ユーザーに安く販売する」というものです。
非常にシンプルなコンセプトですが、賛同する食品メーカーはブランドアップや廃棄コストの削減、購入者も
食品ロスの削減に貢献しながら割安に買い物ができる、と誰も損をしないビジネスモデルです。
これだけであれば類似したサービスはあるかもしれませんが、個人的にはここに「社会貢献」のエッセンスが
加わっていることがクラダシならではと感じました。売上の一部を自分が選んだ社会貢献団体に寄付できたり、
フードロスの累計削減量が確認できたりと、ユーザーを社会貢献に巻き込む工夫が随所に凝らされています。
また、事業から派生した様々な社会課題解決の輪が広がっている様子も印象的でした。社会貢献型の
インターンシップ(クラダシチャレンジ)や、フードバンクの支援、教育事業、限界集落の支援など・・・。
特に、青森県のりんご農家がこれまで廃棄していたB級品をクラダシに出品したところ、年間90万円の
売上になった、というエピソードはインパクトがありました。フードロスの削減という1つの取り組みを
突き詰めていくことが、実は他の社会課題の解決にも繋がっていく、というお話は示唆に富んでおり、
他の様々な問題に取り組む際にも重要な視点になるのではと感じました。
フードロス問題に限らず、環境問題の大きな課題は「問題を知った人に一歩踏み出して行動をしてもらう」
ことだと思います。この点、クラダシの取り組みは「お得に買い物をする」という日々の消費行動に結び
ついており、「環境問題に取り組む」というハードルを消費者に感じさせず、むしろ「楽しい体験」に変化
させています。環境問題に取り組む皆さんにとって、大いにヒントになる講演だったのではないでしょうか。
「市民のための環境公開講座」は全9回、11月までまだまだ参加者募集中です。
登録をしておけば後で録画視聴もできますので、少しでも興味のある講座がありましたらぜひ以下の
ホームページからお申込みください!
<市民のための環境公開講座・お申込み>
https://www.sompo-ef.org/kouza/kouza2022/
SOMPO環境財団・瀬川