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2022
07,08
15:30
市民のための環境公開講座 7月6日(水)第1回
CATEGORY[市民のための環境公開講座]

こんにちは。SOMPO環境財団の瀬川です。

 

いよいよ2022年度も「市民のための環境公開講座」が開講されました。

記念すべき30周年となる今年度は、「認識から行動へ ―地球の未来を考える9つの視点―」を

全体テーマとして、さまざまな切り口で地球環境とわたしたちの暮らしのつながりを考えていきます。

 

7月6日(水)18時00に実施した第1回は、東京大学理事、グローバル・コモンズ・センターの

初代ダイレクターである石井菜穂子さんを講師に迎え、「安定した地球環境(グローバル・

コモンズ)を未来に引き継ぐために」というテーマでお話しいただきました。


地球環境が直面している様々な問題を大局的にとらえ、現在の危機を引き起こしている要因は

何か、それは社会システムをどのように変えれば克服できるのかというテーマを軸に、一見すると

実感を得づらい地球環境(グローバル・コモンズ)と私たちの暮らしの繋がりをわかりやすく

解説していただけた、第1回講座にふさわしい内容でした。

石井さんがお話した内容や、私なりの解釈や感想も含めてご紹介したいと思います。


地球の長い歴史の中で、温暖で安定した気候を保っている1万2000年前頃から現在までを

「完新世」と呼びます。これは人類が農耕をはじめてからの期間とほぼ一致しています。

安定した食料供給に支えられて人間は爆発的に人口を増やし、都市化を進め、分業を行うことで

様々な技術革新を遂げてきました。特に産業革命以降の約200年間は飛躍的な経済活動の

拡大が進みましたが、これは裏を返せば飛躍的に地球環境への負荷が高まったこととイコール

でもあります。実際に、この200年間で地球環境が大きく変化してしまったことは種々の指標から

明らかで、その影響は地質学上「人新世」という新たな分類が提唱されていることに象徴されています。

この人間の活動による負荷に「地球があとどれくらい持ちこたえられるか」という問いが、

今日の環境活動の原点であると言えます。

 

講座では、この問いに答えるためのモデルとして、「プラネタリー・バウンダリー」という考え方が

紹介されました。完新世の地球環境が安定していた要因を9つに分類し、それぞれの要因ごとに

現状の負荷を測定、「あとどれくらい持ちこたえられるのか(もしくはもう限界を超えているのか)」を

示したものです。2030年を目標に気候変動を1.5℃に抑えようとするパリ目標や、生態系保全

分野では30by30などの目標が定められていますが、これらの目標は「そこを超えたら地球環境は

限界を超えてしまう」というプラネタリー・バウンダリーから逆算して定められた目標と言えます。

つまり、現在の地球環境問題は「人間の経済システム」と「地球環境システム」の衝突であると

言い換えることができます。地球環境システムを変えることはできませんから、私たちが現在の

経済システムを変えることでしか、この問題を解決することはできません。これは、経済発展の

担い手である世界中のビジネスリーダーも同様の認識をしています。


ここで、講師の石井さんからは重要なヒントが2つ示されました。1つは、「SDGsのような細分化

された目標を個別に捉えてはいけないこと」、もう1つは「共有財産を守る、というローカルの

考え方を、どうやってグローバルに応用するかを考えること」です。

SDGsに関わる食料、エネルギー、生産消費、都市、技術革新などの課題は、それぞれが複雑に

関連しあっており、バラバラに捉えても解決することはできません。SDGsのウェディングケーキに

示されているように、全体を1つの包括的なシステムと考えることが重要になります。

これは地理的な考え方も同様で、先進国がいくら自国内だけで目標達成をしても、それが食料や

衣料品を供給している途上国に低賃金労働を強い、自然環境を破壊するという犠牲の上に

成り立っているのであれば、地球規模での問題は何ら解決されておらず、本末転倒と言えます。

 

私たちが日々行っている行動、例えばスーパーで何気なく食材を選ぶその選択が、引いては

気候変動を助長し、遠く離れた国の生態系を壊す選択になっているかもしれません。現在は

技術革新により、こうした影響が可視化され、距離の壁を越えたネットワークが実現していることで、

以前よりはるかに問題を「自分ごと」として感じやすくなっているはずです。

私たち一人ひとりが地球環境問題の当事者であることを自覚して行動することが、将来の世代に

豊かな地球環境を引き継ぐために何よりも必要であるということが、本講座のメッセージだった

のではないでしょうか。

 

次回は7月20日(水)18時から、「(対談)アドベンチャーレースの世界から見る自然界」をテーマに、

プロアドベンチャーレーサーの田中陽希さん、田中正人さんに講演いただきます。

様々なメディアにも取り上げられ大注目のお二人の対談、ぜひご視聴ください!

 

<市民のための環境公開講座・お申込み>

https://www.sompo-ef.org/kouza/kouza2022/


SOMPO環境財団・瀬川

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2022
02,02
16:47
【CSOラーニング制度】2021年度1月 関西・愛知・宮城地区定例会を開催しました!
CATEGORY[CSOラーニング制度]
こんにちは!
愛知地区チューターの岸拓実です。

1月20日に関西、愛知、宮城3地区合同の第7回定例会が開催されました。
今回も11月・12月と同様の二部構成でした。

1.CSOラーニング制度で印象に残った活動について派遣先ごとの発表
2.関心テーマについてのディスカッション

1.CSOラーニング制度での活動についての発表
今回は以下の5団体が発表してくれました。簡単に発表内容も紹介します。

①愛のまちエコ俱楽部(https://ai-eco.com)
菜の花を活用した地域内資源循環モデル(菜種油の生産→油の回収→せっけんや燃料の生産
→農作業利用)である「菜の花エコプロジェクト」などの事業を通し、様々なことを学んだ
そうです。



何に価値を感じるかは人それぞれであり、持続可能や環境に取り組む人にはきっかけがありますが、
それは大体危機感から来るものです。
環境問題に取り組むことにプラスのイメージ・価値を感じる人を増やしたいと思ったので、
自分自身もプラスのイメージを感じつつ、必要だと感じたことを行っていきたいという感想を
述べてくれました。

②気候ネットワーク(https://www.kikonet.org)
気候ネットワークは気候変動に対して幅広い活動をしている団体です。
気候ネットワークはオンラインでの活動に限られてしまっているにも関わらず、3人が3人とも
オリジナルの活動をしています。それぞれの人が職員やボランティアなど関係する人たちを
巻き込んで活動しています。
   

 
それぞれの活動から多くのことを学んでくれました。その活動に限定されたことではない
学びもあったため、他の団体の方も参考になったポイントが多かったと思います。

③日本ウミガメ協議会(http://www.umigame.org)
日本ウミガメ協議会は、ウミガメを含む自然と人との共存を目指す団体です。
最も印象に残った活動は、和歌山県みなべ町での産卵調査でした。フィールドワーク調査や
関係者のネットワークづくりを通し、以下のような学びを得てくれました。

 

④オイスカ名取事務所(http://www.oisca.org/kaiganrin/project)
オイスカ名取事務所では、東日本大震災復興の一環で「海岸林再生プロジェクト」を行っています。
松の植林に加え、つる植物の駆除、溝切り、ゴミ拾い、活動理解のための広報活動です。
クロマツは湿気に弱いのですが、盛り土によって排水に問題があるため、溝切り排水経路を
確保する必要があります。
 


海岸林の再生のために多くの人々の理解と協力が必要であり、今後も活動に参加し、
身近な人から活動を広めていきたいと語ってくれました。

⑤環境会議所東北(https://www.kk-tohoku.or.jp)
「みやぎグリーン購入ネットワーク」について主に話してくれました。
グリーン購入とは、商品やサービスを購入する際に必要性をよく考え、価格や品質だけでなく、
環境への負荷ができるだけ小さいものを優先的に購入することです。主な活動は以下の通りです。



環境について学ぶイベントを通して、エネルギーの便利さやそれを創り出す大変さを感じた
そうです。また、イベントが子供たちへの環境教育につながると考えてくれました。

今回で全ての団体の活動発表が終了しました。毎回質問もたくさん出ており、ラーニング生
同士たくさん刺激をもらったのではないでしょうか。
どの団体も素晴らしい発表をありがとうございました!

2.関心テーマについてのディスカッション
今回は最終回ということで、各グループが考えてくれた、
「問題解決に向け、修了後に取り組むこと」を発表しました。

①気候変動チーム
気候変動のことを分かっている人は多いのに行動が伴わないことが現状であるため、
持続できるかどうかが大切であるということを意識し、小さいことからできることを
考えてくれました。
情報共有ができるコミュニティに入ることや、知識をつけると、実際に情報共有をする
ことなどです。確かにこうした取り組みを広げていくことで、より問題意識を持ち行動に
移してくれる人が増えてくれそうですね。


②生物多様性チーム
生物多様性とは、生き物たちの豊かな個性とつながりを指します。
しかし、知るきっかけがないことや、誤った認識や行動によって具体的なイメージが
わかない人が多いです。そこで、イラストを活用した情報発信により、幅広い世代に
正しい情報を伝え、興味を持ってもらおうと考えてくれました。
既に2つのイラストを描いてくれました!そして、なんとSNSまで開設してくれました!(https://instagram.com/cso2021_sns)

  

③エネルギー問題チーム
このチームは、劇のようなストーリーで発表をしてくれて、楽しんでみることができました!
温室効果ガス排出量削減に関して、アンモニアの混焼やCO2を回収して貯蓄する技術
「CCS」や、それを利用する「CCUS」など様々なことを紹介してくれました。
これからの社会を担う私たちは、エネルギー問題を自分事として考え、声を上げていくべきです。
電力会社を選ぶ、パブリックコメントを出す、選挙で環境問題に関心のある政治家を選ぶなど、
できることからはじめていこうと発表してくれました。
 


④ゴミ問題チーム
このチームは、いくつかのトピックに分けて発表をしてくれました。
海洋ゴミ問題に関して、マイクロプラスチックを回収するボートやビーチクリーンアップ
イベントを紹介してくれました。
また、在庫を確認してから購入したり、長期間の保存方法を調べたりするなどの上手な
買い物方法、複数の企業で対策されている商品の個包装の見直しについても発表して
くれました。
さらに、不用品の海外への寄付やダンボールコンポストなどのゴミを出さない取組も
紹介してくれました。
この他、国や企業の取組、身近にできるリサイクルについて、まとめてくれました。

 

⑤食糧問題(フードロス)チーム
このチームもトピックを分けて発表してくれました。
ファストフードや食べ放題など、便利や安くてお得感のある反面ロスが多い飲食店
事情に関して、SDGsに積極的に参加している企業を選ぶ、頼み方を意識するといった
行動を紹介してくれました。
また、環境に負荷の多い牛肉生産に関して、消費量そのものを減らす工夫、給食の配膳方法の
見直しなど学校現場での環境教育の重要性について発表してくれました。
他にも、尻腐れのトマトに「闇落ちトマト」という名前をつけて売り出したことなど
規格外品に関するアップサイクルについて紹介してくれました。
 

⑥食糧問題(飢餓)チーム
飢餓に対する国内の課題として、食糧自給率が低いことや気候変動による農林水産物の
収量低下などが挙げられます。問題解決に向け、「地産地消」に着目した取り組みを
紹介してくれました。
地産地消マップの作製やSNSの活用、スーパーへの提案などの取組です。
こちらのチームもSNSアカウントを開設してくれています!(https://instagram.com/cso_chisanchisho)
※#地産地消ラーニング生 のタグをつけて投稿しましょう!

 

各グループで発表方法が異なり、「伝える」ことに関して学ぶことが多かったです。
発表してくれた内容に関して、私自身も何か1つでも良いので今後行動に移していきたいと
思いました。

2時間に亘る定例会皆さんお疲れさまでした。最後までオンラインの定例会となりましたが、
オンラインだからこそ地区を超えた繋がりができたのではないでしょうか。

活動はこれでひとまず区切りとなりますが、3月には修了式もあります。
最後に皆さんの活動のまとめを聞くのが楽しみです。

この8か月間私も多くのことを学ばせていただきました。これからのラーニング生の皆さんの
活躍を期待しています。ありがとうございました!
 

愛知地区チューター
岸拓実

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2022
01,24
14:40
【CSOラーニング制度】2021年度1月関東地区定例会を開催しました!
CATEGORY[CSOラーニング制度]
こんにちは!
関東地区チューターの古田崚馬です。

先日は珍しく関東地方平野部にも、どかっと雪が積もりましたね。
キャンパス内に雪だるまが現れ、一変した街の風景を味わいました。

さて、2022年1月14日(金)に、関東地区第7回定例会がオンラインで開催されました。
内容は二本立てです。一つは派遣先CSOごとの発表。活動内容のうち、印象に残っているものを
1つ発表します。もう一つは、関心テーマごとの話し合い。今月はいよいよ最終発表です。

今回は、インドネシア交流会でお世話になった、JEEFの矢田誠さんがオブザーバーとして参加され、
「日本の皆さんのご活躍を見て、インドネシアの活動でも参考にしたい」と述べられました。
最終回、よい緊張感の中で始まります。

【第1部】CSOごとの活動発表 (60分間)
自分の団体での活動一つ振り返り、みんなにその活動の概要、達成できたこと、反省点、気づき、
そして活動の喜び等を共有します。今月は以下の6つの派遣団体からのプレゼンがありました。
それぞれの要旨と、発表に対する感想や質問をまとめます。

①ECOPLUS 
体験を重視した人材育成の一つとして「芝・ネイチャー大学校」という活動がある。
東京都港区在住の親子が茨城県阿見町を訪れ、自然体験や農業体験を通して自然と親しみ
農村部の人々と交流する。運営スタッフとして参加し、自然との触れ合いは人々の心を豊かに
出来ると感じた一方、環境問題に関心のない人へのアプローチが難しいと思った。

(感想・質問)
・大都会に住んでいて自然に身を置く体験の重要さは共感できる。
・私自身、フィールドに出ることが大好きで、コロナで不自由な世の中でもどかしい思いを
していた時期もあった。フィールド活動が主体のECOPLUSにおいて、フィールドに出られない
時期の辛さなどはどう紛らわしていたか?
 

②共存の森ネットワーク 
「聞き書き甲子園」は、全国の高校生が「名人」と呼ばれる林業家や漁師、伝統工芸士を訪ね、
名人の人生をまるごと聞く活動である。聞き書き甲子園の卒業生へのインタビュー記事の作成を
通して、企画から行うことの大変さを痛感し、また自分のインタビューを客観視できた。
SNS投稿では投稿の雰囲気をツール(Twitter,Instagramなど)ごとに変える工夫をした。
自然と向き合ってきた第一次産業従事者の知恵や考え方は無駄にしてはいけない。

(感想・質問)
・他のラーニング生からアドバイスをもらったそうだが、上手に活用できた、役に立った
アドバイスなどがあれば教えてほしい。
 

③WWFジャパン 
広報の部署での活動を通して「国語力」が最重要だと感じた。自分の考えを言語化して伝える
ことに長けている職員の方を見習いたい。
また、国立公園内での地熱発電所開発に関する調査を行った。調べると参考になる資料が少ない
と感じた。一般の人が環境について判断するのは難しい。そういう方々のためにある程度専門性を
持ったCSO等が活動する意義があるのではないか。

(感想・質問)
・私は来年からちょうど地熱発電に関わる企業に就職する。日本は地熱のポテンシャルが高いのに、
国立公園に位置することが多く開発が困難だという問題は興味深い。
・ちょうど先月WWFの方が大学に講演をしに来られ、集合写真にラーニング生の方々も写っていて
感動した!WWFという知名度の高い大きな組織だからこそ“国語力”の持つ力はとても大きい
と思う。
 


④JEEF日本環境協会フォーラム 
全国各地の環境教育に関わる方が交流する「清里ミーティング」、教職員など環境教育を行う
人に向けてのリーダー育成講座、SDGsについての理解を深める「SDGs市民カレッジ」など
幅広い活動を行なった。この3つのイベントにはCSOラーニングの方が参加していたので縁に
感謝したい。
また、数学と科学の参加体験型プログラムであるGEMSのワークショップをサポートしたり
実際に体験したりした。環境課題は様々なことが複雑に絡み合っているので、環境教育において
重要なのは、分野に縛られずに思考力や想像力を育てることだと感じた。

(感想・質問)
・環境教育を行う人たちに向けた教育の重要性が分かった。教育に携わる人も学ぶことを
やめてはいけない。
 

⑤パブリックリソース財団 
食品ロスとなる食材を、食の支援を必要とする人々に届けるフードバンク事業に関わった。
地域に適した様々な対象や形態をもつフードバンクがあることが分かった。しかし「誰もが
安心・安全な食べ物を手に入れられる社会をつくりたい」という思いはどこも同じ。
社会的に意義のある活動を分かりやすく発信すること、全体像を掴むこと、現場に赴くことの
大切さを感じた。今後に生かしたい。

(感想・質問)
・関心のある分野。フードバンクの取り組みは都心では盛んだが地方に出ると少ないように
感じるので、もっと広がってほしい。
・フードバンクでは、衛生面上の理由などからいくつかの規制や障壁などがあると思われる。
フードバンクの問題点や拡大を阻害する要因は何があるのか。
 


⑥ボルネオ保全トラスト・ジャパン 
都内の高校で、1,2年生の生徒ら150名の前で「進路選択と人生選択について」と題し
オーストラリアの大学に進学した自分の経験をもとに講演した。内容は英語の勉強、自分らしく
生きる方法、自分が学ぶgeo-ethicsという倫理分野の普及啓発等。約50名の生徒から質問や
相談を紙でもらい、フィードバックを行った。例えば、やりたいことが見つからない生徒に
対して自己分析とはどういうことかを伝えた。「見えない傷や痛みを緩和したり問題を解決したり
することで地球全体の幸福度を上げる」という自分のモットーに沿うものが出来たと思う。

(感想・質問)
・生徒との交流を通して、自分の人生のモットーに沿う活動ができたということはとても
素晴らしいことだと思う。文化の違う環境で暮らしていく中で、大切にしていることは何か。
 



今回もここでは書ききれない程、多くの体験が共有されました。
発表後、財団の佐藤さんが「いろんな人との交流でき、社会とつながる経験ができたと思う。
その経験を大切にしてほしい。また、ぜひ失敗から学んでほしい」とおっしゃいました。
加えて司会の瀬川さんが「環境分野に限らず普遍的な学びを得ている」と述べられました。

私は、学んだ実感の大小は人それぞれだと思いますが、いつか、どこかの場面でこの経験が
役立つことがあると考えます。多くの人と多様な価値観を共有できたことに誇りをもって
ほしいです。

【第2部】関心テーマについてのディスカッション最終発表(50分間)
12月から1月の3ヶ月間で、関心分野ごとにその課題の解決方法について議論をします。
「その問題を解決するために私たちが取り組むこと」をラーニング生全体に発信することが
ゴールです。今回は各班より最終発表が行われました。各々の要旨をまとめます。

①気候変動 [映画を鑑賞して]
『不都合な真実』という気候変動対策の重要さを訴える映画をグループで鑑賞し、感想を共有。
映画の内容を踏まえて、私たちに出来そうな次の4つの行動を提案する。身近に出来ることから
始めてみよう。

1.省エネ型の電化製品・電球に交換する。
2.小まめに蛇口を閉め、送水エネルギーを節約する。
3.エアコンの設定温度を見直す。
4.植林活動をする。生育中の木がより多くのCO2を吸収する。
 


②生物多様性 [里山・里海から考える]
里山・里海は、人々の営みのある場所であり、これらの景観に適応した様々な生物が生息する。
人が自らの文化を育んでいる場所でもあり、生物多様性を維持・向上させる上で重要な役割を
担う地域。個々のアクションは次の通り。

・座学ではなく実際にフィールドに出て公園整備等の活動に参加する。
・海岸清掃に参加し漂着するゴミの実態を知る、そこに住む生き物を見て愛着心を育む。
・地元で採れた野菜を消費し、その土地の耕作地の持続に貢献する。
・自然と共生した暮らしを推進することで、生物多様性と調和した社会を実現する。
 


③エネルギー問題 [環境家計簿をつけてみよう]
家庭でどのくらいCO2を排出しているかを知るために、環境家計簿をつけてみよう。
日常生活で使用する電気、ガス、灯油、ガソリンなどのエネルギー使用量に、排出係数を掛ける
だけでCO2排出量が出る。東京都小平市が環境家計簿のアプリを出しているのでぜひやってみよう。
グループをつくることも出来る。仲間で競いながら取り組むのも面白いのではないか。

小平市環境家計簿<https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/036/036804.html>
 

④ゴミ問題 [ペットボトルの分別とマイボトルの普及]
PETボトルからPETボトルへのリサイクルを進め、かつ使用量を減らす必要がある。
私たちにできることは、ラベル・ボトル・キャップを分別すること、マイボトルを持つこと、
補充場所を宣伝すること。自分で行動し現状を周囲に伝えることで、周囲も同じ行動をし、
それが世の中の規範になる。マイボトル持参を習慣化し、給水スポットで補給することを
周囲に広める。
 

⑤食糧問題 [サステナブルな飲食店の利用]
合宿や交流会というイベントがあるとして、そこで具体的に実践できることはサステナブルな
飲食店の利用である。様々な観点から具体的なお店を紹介する。事例として、ジビエ(※)を
扱う、地場野菜を扱う、代替肉として大豆ミートを使用する、食品ロス削減に取り組むお店がある。
このようなサステナブルな飲食店を利用することを通して、食を楽しみながら環境のために
行動できる。

※ジビエ…家畜ではなく、狩猟によって獲た野生の鳥獣
 

⑥エシカル消費 [ラーニング制度で培った力を活かす]
日本では、エシカル消費は認知されつつあるが実践に結びついていない。理由として消費者の
手に取られにくいこと、継続使用される魅力が薄いことが挙げられる。
私たちは、ラーニング制度の中で、発信力、想像力、行動力が身についた。それらを生かし
3つ提案する。第一に、正しい知識の発信。企業や自治体の行うエシカル消費の推進活動を
発信する。第二に、若い目線を生かし、幅広い世代が使い続けたいと思う商品の提案。
第三に、気軽に楽しくできることを発信。このように、この制度での成長を糧にしたい。
 



最終発表は、調査に基づいた提案や具体的な提案、そして今から出来そうな提案が多くあり
どの班もおもしろかったです。最後に財団の西脇さんが次のように述べられました。
「後半のミニプロジェクトは予想以上の立派な発表だった。皆さんで決めた決意は実践して欲しい。
アウトプットは出来ていたが、そのプロセスはどうだったか気になる。6月から継続して
『この8ヶ月で一歩踏み出せるように努力してください』と言ってきた。スタート地点も
到達点も人それぞれ違う。一人ひとりがどれだけやれたかが重要。自問自答してほしい」

1月でラーニング制度は終わります。皆さんお疲れ様でした。活動開始直後は、今年度こそは
対面で定例会を行いたいと思っていましたが、結局すべてオンラインとなりました。
しかし、一部では実際に集まって交流ができました。コロナ禍で制約が多い中、この制度の
機会を十分に生かしたいと、ラーニング生らの意志により実現しました。

対面で会った人はもちろん、そうでない人も、活動を通していろんな人と出会うことで、
綺麗に言葉に出来なくても肌で感じたことが多くあったと思います。
どんなことでも感じたこと全てが財産だと思うので、この感覚を忘れない内に自分の行動に
移して欲しいです。

私も皆さんの姿からたくさんのことを学びました。ありがとうございました!

関東地区チューター
古田 崚馬

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2021
12,28
16:13
【CSOラーニング制度】2021年度12月 関西・愛知・宮城地区定例会を開催しました!
CATEGORY[CSOラーニング制度]
こんにちは、宮城地区チューターの平澤拓海です。

今月も12月16日(木)に関西、愛知、宮城の3地区合同で開催されました。
早いものであとは1月の定例会を残すのみとなり、ラーニング生の顔も引き締まってきた
印象を受けます。

さて、今回も前回に引き続き以下の内容で実施しました。

①CSOラーニング制度で印象に残った活動について派遣先ごとの発表
②関心テーマについてのディスカッション

①CSOラーニング制度で印象に残った活動について派遣先ごとの発表

今回は以下の5団体が発表してくれました。

1.環境市民
 
NPO法人環境市民(http://www.kankyoshimin.org/)は、持続可能で豊かな社会・生活を
実現するということをビジョンに活動しているようです。
中でも発信について色々話してくれました。環境活動は、より多くの人に理解してもらい、
行動する人を増やすことで解決に近づいていく問題です。SNSでの発信などを通して
どうやって伝えるか、そんなことをインターンを通して学んでいることが印象的でした。

また、環境活動パワーアップ講座という講座があり、そこで環境活動をする人を支援していく
取り組みも個人的には面白そうでした。
環境活動は営利につながりにくく、モチベーションを保つのも難しいので、こういった支援は、
環境活動を持続的にしていく上で大切だと思います。

2.里山保全活動団体 遊林会
 
遊林会(http://www.yurinkai.org/)は人と自然、人と人をつなげること、そして、自然との
ふれあいを通して豊かな心をはぐくむこと。をミッションに活動している団体です。
誰でも保全活動に参加でき、その中で自然の大切さなどを学んでいくようです。
特に「モリイコ」での子供たちとの触れ合いが印象的でした。 
最初は虫が嫌いだったり、上手に話せなかった子供達が、だんだんと自然と一緒に触れ合って
いくことで、虫が触れるようになったり、子供たちと仲良くなっていく様子を話してくれました。
幼少期の体験は、本当に重要だと思います。そういった中でどうやって子供たちと向き合って
いくか、自然と向き合っていくかということをインターンを通して学んでいるようでした。
こういった自然と触れ合える機会が、もっと広がっていくことが、自然を育む人を増やす
ことにもつながっていくでしょう。

3.地球環境市民会議(CASA)
 
地球環境市民会議(CASA)(https://www.casa1988.or.jp/)は、地球規模の環境問題と
地域レベルの大気環境の保全についての活動から始まり、現在は主に気候変動問題について
様々な調査や提言、活動を行っているようです。  
特に世界気候アクションの話が印象的でした。著名な講師をお呼びし、その中で他団体の
学生とともに気候変動の解決を呼びかけるイベントを実施して100名程度の方にご参加
いただいたようです。気候変動は1つのセクターだけで解決できる問題ではなく、全ての
セクターができることを全てやっていくことで初めて解決ができると考えています。
自団体に限らず、他の団体も巻き込んだイベントが企画できていたことは、とても印象的で
こういった協働が広がって欲しいと思います。
他にも、Fridays For Future Osakaと一緒にスタンディングアクションをして、石炭火力発電に
抗議する活動など、あまり他の団体では見られない勇気ある活動が印象的に映りました。

4.オイスカ中部日本研修センター
 
オイスカ中部日本研修センター(http://www.oisca.org/chubu-tc/)は、「すべての人々が
さまざまな違いを乗り越えて共存し、地球上のあらゆる生命の基盤を守り育てようとする世界」
を目指して活動する国際NGOの中部支部です。
主に海外の実習生の研修を中心として活動しているようですが、研修といってもかなり多様な
活動をしているようです。
中部地域では、鶏を飼っているようですが、実際に取り立ての卵を取ったり、鶏を絞めたりと
いった経験も含め貴重な時間を過ごしているようです。
ほとんどの活動先がオンラインでの活動に制限される中、OISCA中部では、サマースクールを
実施することができたようです。
 
子供たちと実習生が一緒にキャンプをするなどの交流が行われていました。一口に環境活動と
言っても様々な活動が見られ、特に環境活動を通して海外の人と交流できたことは、
ラーニング生にとっても大きな経験になったと思います。

5.杜の伝言板ゆるる
 
杜の伝言板ゆるる(https://www.yururu.com/)は、宮城県を中心としたボランティア及び
NPO(民間非営利組織)活動に関わる情報の収集及び提供を主軸に活動している団体です。
その中でもフードバンクでの活動を中心に話してくれました。フードバンクはまだ食べられる
のに様々な理由で処分されてしまう食品を届ける活動です。
捨てられる食糧の量にかなり驚いているようでした。フードバンクの取り組みを知らない人も
多く、そういった広報を含め、取り組んでいるようでした。
オンラインでの活動が中心で思ったように活動できない期間も続いていたようですが、
その中でもできることにフォーカスして活動を頑張っているようでした。

②関心テーマについてのディスカッション

・気候変動 
・生物多様性 
・エネルギー問題
・ゴミ問題 
・食糧問題

の5つのテーマに分かれて、「問題解決に向けた取り組み方法」について議論しました。
特にCSOラーニング制度が終了してからも、どうやってこれまでの活動の経験を生かして
環境活動を続けていくかということを意識しながら議論しました。
 
私は気候変動のグループで参加していたので簡単に議論の流れを共有したいと思います。
気候変動は大きな問題なので、なかなか意識と行動が結びつきにくいところがあります。
1人の行動が大きな変化を生むことが期待しづらいからです。
それでも小さな変化が大きな変化を生むということでコミュニティーを作ったり、広報を
頑張ってみたり、エシカル消費などを進めていけばいいのではないかなどの意見が出ました。
詳しくは1月の定例会でまとめて発表なので期待していただければいいかなと思いますが、
是非ともラーニング生にとって、持続的に活動できるような提案になっていればいいなと
思います。

活動もラストスパートになってきますが、体調には気をつけて頑張っていきたいですね!

宮城地区チューター
平澤拓海

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2021
12,27
16:53
市民のための環境公開講座 12月8日(水)第9回
CATEGORY[市民のための環境公開講座]
こんにちは。SOMPO環境財団の瀬川です。

今回は12月8日(水)に開催された、「市民のための環境公開講座」PART3・第3回、
今年度最終回となる講座のレポートをお届けします。
今回はPART3「わたしたちにできる選択」の第3回として、食品ロスジャーナリストの
井出留美さん、NPO法人循環生活研究所・理事長の永田由利子さんを講師に迎え、
「食品ロスをなくす方法」をテーマに、対談形式で講演いただきました。


最初のパートでは、井出さんから「日本と世界の食品ロスの現状と対策」について
お話いただきました。一口に「食品ロス」と言っても、国際的には「Food Loss」と
「Food Waste」の2つの概念があります。「Food Loss」は生産から加工、流通までの
過程で発生する食品の廃棄のこと、「Food Waste」は小売・外食・家庭から発生する
食品の廃棄のことです。日本ではこれらをまとめて、「まだ食べられるのに廃棄される
食品」のことを「食品ロス」と呼んでいます。

では、日本ではどれくらいの食品ロスが発生しているのでしょうか。
農水省・環境省の推計によると、年間570万トンの食品ロスが発生しているとのことです。
これは世界で行われている食糧援助量420万トンの約1.4倍、別の表現をすれば、
東京都民が1年間に食べる食品の量と同等ということになります。

食品ロスの内訳は事業者と家庭でほぼ半々ですが、ゴミの処理について考えると、
また違う問題点が浮かび上がってきます。
事業者の出したゴミは産業廃棄物として処理されますが、小売店や家庭から出されたゴミは、
事業系一般廃棄物、家庭ゴミとして「税金で」焼却処分されることになります。
これにかかる費用は年間で2兆円にもなるとか!食品ロスの問題が環境だけではなく、
経済的にも大きな問題となっていることが分かります。


対策として、よく3R(リサイクル、リユース、リデュース)ということが言われますが、
井出さんによれば、最も重要なのは「リデュース(蛇口の元を締める)」ことです。
環境問題への取り組み、というとリユース、リサイクルが注目されがちですが、
発生する廃棄物の量を減らすことが最も有効な対策である、という事実から目を背けては
いけません。


廃棄量を減らすための対策としては、店舗で食品廃棄量を計測するという米国の取り組みや、
同じく廃棄量の見える化で成功した京都市の取り組み、韓国での生ごみ従量課金制などの
事例が紹介されました。また、福岡県大木町や宮崎県新富町で行われている、「生ごみ→
肥料化→食品生産」という食農循環の取り組みは、後段のコンポストにも繋がる事例でした。

続いて、永田さんからは「コンポストを使った楽しい循環生活」と題して、地域に密着した
ローカルフードサイクリングについてお話いただきました。主にコンポストを活用した、
「有機性廃棄物(いわゆる生ごみ)の資源化」を目指す取り組みです。
永田さんは2000年に福岡県でコンポストを活用した堆肥講座を始められてから、
徐々に対象を全国に広げ、指導者育成にも取り組まれています。
講座の受講者は現在までで延べ245万人以上!ということで、非常に精力的に活動を
推進されています。


コンポストの利点は何と言っても、生ごみを入れるだけ、という手軽さにあります。
家庭でも簡単に始めることができ、「食べ物が栄養となり、また次の食べ物となる」という
循環を感じることができます。
永田さんは半径2kmの小さな循環を「自分ゴトで捉えることができる範囲」として、
「ローカルフードサイクリング」を提唱し、地域の住民や企業を巻き込んで活動をされて
いるとのことでした。

「市民のための環境公開講座」では、受講者の皆さんに環境問題についての知識を得て
いただくことはもちろんですが、得た知識をもとに「行動」に踏み出していただくことを
大きなテーマとしています。
受講後のアンケートでも、「講座を聞いて何か行動してみようと思いましたか?」という
項目を必ずお聞きしていますが、今回の講座は「行動してみようと思う」と答えた方が
最も多い回となりました。(実は私も受講した日にコンポストを注文しました。)

今年度の講座は今回で終了となりますが、また来年の講座が開講されるまで、本講座を
受講された一人でも多くの皆さんが「行動」の第一歩を踏み出し、それが集まって
大きな力となることを願っております。

それでは、また来年の講座でお会いしましょう!

SOMPO環境財団・瀬川

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