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2022
07,08
15:30
市民のための環境公開講座 7月6日(水)第1回
CATEGORY[市民のための環境公開講座]

こんにちは。SOMPO環境財団の瀬川です。

 

いよいよ2022年度も「市民のための環境公開講座」が開講されました。

記念すべき30周年となる今年度は、「認識から行動へ ―地球の未来を考える9つの視点―」を

全体テーマとして、さまざまな切り口で地球環境とわたしたちの暮らしのつながりを考えていきます。

 

7月6日(水)18時00に実施した第1回は、東京大学理事、グローバル・コモンズ・センターの

初代ダイレクターである石井菜穂子さんを講師に迎え、「安定した地球環境(グローバル・

コモンズ)を未来に引き継ぐために」というテーマでお話しいただきました。


地球環境が直面している様々な問題を大局的にとらえ、現在の危機を引き起こしている要因は

何か、それは社会システムをどのように変えれば克服できるのかというテーマを軸に、一見すると

実感を得づらい地球環境(グローバル・コモンズ)と私たちの暮らしの繋がりをわかりやすく

解説していただけた、第1回講座にふさわしい内容でした。

石井さんがお話した内容や、私なりの解釈や感想も含めてご紹介したいと思います。


地球の長い歴史の中で、温暖で安定した気候を保っている1万2000年前頃から現在までを

「完新世」と呼びます。これは人類が農耕をはじめてからの期間とほぼ一致しています。

安定した食料供給に支えられて人間は爆発的に人口を増やし、都市化を進め、分業を行うことで

様々な技術革新を遂げてきました。特に産業革命以降の約200年間は飛躍的な経済活動の

拡大が進みましたが、これは裏を返せば飛躍的に地球環境への負荷が高まったこととイコール

でもあります。実際に、この200年間で地球環境が大きく変化してしまったことは種々の指標から

明らかで、その影響は地質学上「人新世」という新たな分類が提唱されていることに象徴されています。

この人間の活動による負荷に「地球があとどれくらい持ちこたえられるか」という問いが、

今日の環境活動の原点であると言えます。

 

講座では、この問いに答えるためのモデルとして、「プラネタリー・バウンダリー」という考え方が

紹介されました。完新世の地球環境が安定していた要因を9つに分類し、それぞれの要因ごとに

現状の負荷を測定、「あとどれくらい持ちこたえられるのか(もしくはもう限界を超えているのか)」を

示したものです。2030年を目標に気候変動を1.5℃に抑えようとするパリ目標や、生態系保全

分野では30by30などの目標が定められていますが、これらの目標は「そこを超えたら地球環境は

限界を超えてしまう」というプラネタリー・バウンダリーから逆算して定められた目標と言えます。

つまり、現在の地球環境問題は「人間の経済システム」と「地球環境システム」の衝突であると

言い換えることができます。地球環境システムを変えることはできませんから、私たちが現在の

経済システムを変えることでしか、この問題を解決することはできません。これは、経済発展の

担い手である世界中のビジネスリーダーも同様の認識をしています。


ここで、講師の石井さんからは重要なヒントが2つ示されました。1つは、「SDGsのような細分化

された目標を個別に捉えてはいけないこと」、もう1つは「共有財産を守る、というローカルの

考え方を、どうやってグローバルに応用するかを考えること」です。

SDGsに関わる食料、エネルギー、生産消費、都市、技術革新などの課題は、それぞれが複雑に

関連しあっており、バラバラに捉えても解決することはできません。SDGsのウェディングケーキに

示されているように、全体を1つの包括的なシステムと考えることが重要になります。

これは地理的な考え方も同様で、先進国がいくら自国内だけで目標達成をしても、それが食料や

衣料品を供給している途上国に低賃金労働を強い、自然環境を破壊するという犠牲の上に

成り立っているのであれば、地球規模での問題は何ら解決されておらず、本末転倒と言えます。

 

私たちが日々行っている行動、例えばスーパーで何気なく食材を選ぶその選択が、引いては

気候変動を助長し、遠く離れた国の生態系を壊す選択になっているかもしれません。現在は

技術革新により、こうした影響が可視化され、距離の壁を越えたネットワークが実現していることで、

以前よりはるかに問題を「自分ごと」として感じやすくなっているはずです。

私たち一人ひとりが地球環境問題の当事者であることを自覚して行動することが、将来の世代に

豊かな地球環境を引き継ぐために何よりも必要であるということが、本講座のメッセージだった

のではないでしょうか。

 

次回は7月20日(水)18時から、「(対談)アドベンチャーレースの世界から見る自然界」をテーマに、

プロアドベンチャーレーサーの田中陽希さん、田中正人さんに講演いただきます。

様々なメディアにも取り上げられ大注目のお二人の対談、ぜひご視聴ください!

 

<市民のための環境公開講座・お申込み>

https://www.sompo-ef.org/kouza/kouza2022/


SOMPO環境財団・瀬川

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2021
12,27
16:53
市民のための環境公開講座 12月8日(水)第9回
CATEGORY[市民のための環境公開講座]
こんにちは。SOMPO環境財団の瀬川です。

今回は12月8日(水)に開催された、「市民のための環境公開講座」PART3・第3回、
今年度最終回となる講座のレポートをお届けします。
今回はPART3「わたしたちにできる選択」の第3回として、食品ロスジャーナリストの
井出留美さん、NPO法人循環生活研究所・理事長の永田由利子さんを講師に迎え、
「食品ロスをなくす方法」をテーマに、対談形式で講演いただきました。


最初のパートでは、井出さんから「日本と世界の食品ロスの現状と対策」について
お話いただきました。一口に「食品ロス」と言っても、国際的には「Food Loss」と
「Food Waste」の2つの概念があります。「Food Loss」は生産から加工、流通までの
過程で発生する食品の廃棄のこと、「Food Waste」は小売・外食・家庭から発生する
食品の廃棄のことです。日本ではこれらをまとめて、「まだ食べられるのに廃棄される
食品」のことを「食品ロス」と呼んでいます。

では、日本ではどれくらいの食品ロスが発生しているのでしょうか。
農水省・環境省の推計によると、年間570万トンの食品ロスが発生しているとのことです。
これは世界で行われている食糧援助量420万トンの約1.4倍、別の表現をすれば、
東京都民が1年間に食べる食品の量と同等ということになります。

食品ロスの内訳は事業者と家庭でほぼ半々ですが、ゴミの処理について考えると、
また違う問題点が浮かび上がってきます。
事業者の出したゴミは産業廃棄物として処理されますが、小売店や家庭から出されたゴミは、
事業系一般廃棄物、家庭ゴミとして「税金で」焼却処分されることになります。
これにかかる費用は年間で2兆円にもなるとか!食品ロスの問題が環境だけではなく、
経済的にも大きな問題となっていることが分かります。


対策として、よく3R(リサイクル、リユース、リデュース)ということが言われますが、
井出さんによれば、最も重要なのは「リデュース(蛇口の元を締める)」ことです。
環境問題への取り組み、というとリユース、リサイクルが注目されがちですが、
発生する廃棄物の量を減らすことが最も有効な対策である、という事実から目を背けては
いけません。


廃棄量を減らすための対策としては、店舗で食品廃棄量を計測するという米国の取り組みや、
同じく廃棄量の見える化で成功した京都市の取り組み、韓国での生ごみ従量課金制などの
事例が紹介されました。また、福岡県大木町や宮崎県新富町で行われている、「生ごみ→
肥料化→食品生産」という食農循環の取り組みは、後段のコンポストにも繋がる事例でした。

続いて、永田さんからは「コンポストを使った楽しい循環生活」と題して、地域に密着した
ローカルフードサイクリングについてお話いただきました。主にコンポストを活用した、
「有機性廃棄物(いわゆる生ごみ)の資源化」を目指す取り組みです。
永田さんは2000年に福岡県でコンポストを活用した堆肥講座を始められてから、
徐々に対象を全国に広げ、指導者育成にも取り組まれています。
講座の受講者は現在までで延べ245万人以上!ということで、非常に精力的に活動を
推進されています。


コンポストの利点は何と言っても、生ごみを入れるだけ、という手軽さにあります。
家庭でも簡単に始めることができ、「食べ物が栄養となり、また次の食べ物となる」という
循環を感じることができます。
永田さんは半径2kmの小さな循環を「自分ゴトで捉えることができる範囲」として、
「ローカルフードサイクリング」を提唱し、地域の住民や企業を巻き込んで活動をされて
いるとのことでした。

「市民のための環境公開講座」では、受講者の皆さんに環境問題についての知識を得て
いただくことはもちろんですが、得た知識をもとに「行動」に踏み出していただくことを
大きなテーマとしています。
受講後のアンケートでも、「講座を聞いて何か行動してみようと思いましたか?」という
項目を必ずお聞きしていますが、今回の講座は「行動してみようと思う」と答えた方が
最も多い回となりました。(実は私も受講した日にコンポストを注文しました。)

今年度の講座は今回で終了となりますが、また来年の講座が開講されるまで、本講座を
受講された一人でも多くの皆さんが「行動」の第一歩を踏み出し、それが集まって
大きな力となることを願っております。

それでは、また来年の講座でお会いしましょう!

SOMPO環境財団・瀬川

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2021
12,16
14:09
市民のための環境公開講座 12月1日(水)第8回
CATEGORY[市民のための環境公開講座]
こんにちは。SOMPO環境財団の瀬川です。

12月1日(水)に開催された、「市民のための環境公開講座」PART3・第2回の
レポートをお届けします。
前回から今年度の講座で最後のパートとなる、PART3「わたしたちにできる選択」について、
全3回の講座が行われています。
第2回となる今回は「流域人として暮らす」のテーマで、水ジャーナリスト、アクアスフィア
水教育研究所代表の橋本淳司さんに講演いただきました。

皆さんは、自分がいまどの「流域」に暮らしているかを知っているでしょうか?
また、私たちが生活で使用している「水」はどこから来て、どこに行くのか考えたことが
あるでしょうか?
本講座は、橋本さんのこのような問いかけから始まりました。

講座のタイトルにもなっている「流域」という考え方は、都道府県や市町村などの行政区分で
地域を分ける考え方とは異なり、「どの水源から水を得て生活しているか」という観点で、
私たちの居住する場所を捉えなおすものです。
例えば、群馬県から栃木、千葉、埼玉、東京にまたがる広大な地域は、まとめて「利根川流域」
と考えることができます。(余談ですが、この流域別の地域区分は江戸時代の藩の分け方と
よく似ているそうです。)

SDGsをはじめとする目標は、国際的な課題を共有するという意味ではとても意義深いもの
ですが、目標が大きすぎて日々の生活に落とし込みづらいという側面もあります。
「流域」という単位はより生活に密着したものであるため、この範囲の中で「水」を切り口に
様々な問題に取り組むことで、生活に根差した取り組みがしやすくなり、引いては社会全体の
大きな課題解決につなげることができます。


橋本さんが冒頭に提示したもう一つの問いについてはどうでしょうか。私たちが生活で使用
している「水」と言えば、雨水、水道水、飲料水などが一般的に思い浮かぶと思います。
しかし、実は私たちが日々購入している食料品や衣服なども、生産される過程で非常に多くの
水を使用しています。例えば、肉じゃがに使用する材料だけをとっても、実に1,500リットル以上
の水が使われていることになります(このような考え方を「仮想水」と言います)。
これは、豚肉の生産のために海外で生産された大量の飼料が使われており、その生産過程で
使用する水が含まれると考えるからです。
私たちは自分が思っているより遥かに多くの水を使用して生活していることが分かる、非常に
象徴的な事例でした。

橋本さんからは、企業による水の使用についても問題提起がなされました。例えばアパレル企業
を考えると、私たちが手に取る商品には「水」のイメージがあまりありません。
しかし、その生産過程を考えると、原料となる綿花の生産、染色過程では大量の水を使用している
ことがわかります。しかも、これらは食料の例と同様に海外で生産されていることが多いため、
結果的に国をまたいだ多くの流域に影響を及ぼしているということになります。
水の利用に関しては、企業は①操業リスク、②財務リスク、③法的リスク、④評判リスクなど
様々なリスクをはらんでおり、今後は今まで以上に健全な水の利活用が求められるとの指摘が
ありました。

個人的に非常に重要だと感じたのは、令和3年7月に「流域治水関連法」が改正されたという
お話です。改正前は、法律での治水対策の対象は河川区域に限定されており、主体も河川管理者
と定められていました。しかし、改正後は集水域や氾濫域を含めた「流域」全体での治水を
行うこととされ、主体も流域に所在する自治体・企業・住民(流域人)が担うことになりました。
これからは流域というコミュニティの実態に合わせた管理が必要となり、例えばインフラの
ダウンサイジングや、水田や森林の貯水機能の保全、水力を活用したエネルギーとの連携など、
水を切り口に様々な地域課題に取り組むことが求められることになります。


気候変動などの環境問題は、知識としては危険性を認識しているものの、スケールが大きすぎて
実感を伴いづらい(=行動に繋がりづらい)という課題がついて回ります。
水という、私たちにとって最も身近な自然の恩恵を意識することで、結果的に森林保全、
エネルギー、食糧といった様々な問題の関連に気づくというアプローチは、身近な行動変容を
促すという意味で非常に有効なものに思えました。
「コミュニティとしての流域」の今後の広がりに期待したいと思います。



次回PART3第3回は、12月8日(水)13時30分から、
「食品ロスをなくす方法 日本と世界の食ロス削減最前線」をテーマに、今年度では初めて
となる、対談形式での講座をお届けします。(※)。
講師は食品ロス問題ジャーナリストの井出留美さん、NPO法人循環生活研究所理事長の
永田由利子さんのお二人です。

※講座は既に終了しております。

SOMPO環境財団・瀬川

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2021
12,09
16:23
市民のための環境公開講座 11月23日(火)第7回
CATEGORY[市民のための環境公開講座]
こんにちは。SOMPO環境財団の瀬川です。

今回は11月23日(火)に開催された、「市民のための環境公開講座」PART3・第1回の
レポートをお届けします。
今回からは今年度の講座で最後のパートとなる、PART3「わたしたちにできる選択」について、
全3回の講座が行われます。


第1回は「地球にやさしい食を探す旅」のテーマで、立命館大学・食マネジメント学部教授の
天野耕二さんに講演いただきました。
この講演では食を切り口に環境問題について様々なデータを用いてお話をいただきましたが、
その視点は前半と後半で180度異なるものでした。前半は「気候変動の『被害者』として」、
後半は「気候変動の『加害者』として」、食糧問題について触れられています。

前半では直近のIPCC特別評価報告書などを引用しながら、地球温暖化が「食」にどんな影響を
及ぼすかを説明いただきました。分かりやすい例では、豪雨や森林火災による作物被害などが
挙げられます。もう少し長期的な視点に立つと、気候変動により農作物の好適地が変動すること
も考えなければいけません。日本でも、気温上昇により北海道などの寒冷地で農業がしやすく
なる?ということが最近話題になりましたが、一方で本州の収穫量は減少し、全体としては
単収が下がるというシミュレーション結果が出ているそうです。
また、米の品質低下、病害の増加や低地での洪水リスクなども考慮すれば、やはりネガティブな
影響の方が大きいと言えそうです。農業以外にも、地球温暖化により世界的に水産資源は最大
20%減少、漁獲量も最大24%減少するというシミュレーションが示されました。

後半は一転、食糧が気候変動に及ぼす影響、「加害者としての側面」にスポットライトが
当てられました。これは前半に比べると今まで聞くことの少なかった話題のため、個人的には
大変興味深い内容でした。

この話題は主に「LCA(ライフサイクルアセスメント)」という考え方に則って説明いただき
ました。LCAとは、生産・加工・流通・廃棄など、「食」にまつわるすべての場面でどれだけの
環境負荷が生じているのかを「見える化」する考え方です。
GHG(温室効果ガス)排出量ベースで見ると、「食」に関連したGHG排出量は地球全体の最大
37%を占めると言われ、運輸セクターや産業セクターを超えて、最大のGHG排出源という
ことになります。


この考え方は個別の作物にも当てはめることができるため、講演の中では、作物別や収穫時期、
生産の手法や天然or養殖など、様々な切り口で環境負荷の数値比較をしたデータをご紹介
いただきました。
白米のGHG排出の約65%は水田から発生するメタン、外食より中食の方がGHG排出が多い、
国産米を飼料にするより、輸入トウモロコシを使ったほうがGHG排出が少ない、など、
興味深いお話が沢山ありました。

気になる方は財団HPで近日公開のダイジェストでより詳細な内容が見られますので、
ぜひ参照してみてください!


講座では食に関連したGHG排出を削減する手法として、地産地消、旬産旬消、食品ロスの削減、
生産時の肥料削減などが提言されました。
特に食品ロスについては先進国による問題が大きく、昨今話題になっている賞味期限に関する
慣例や過剰生産など、社会のシステムを見直すことが必要であると、改めて実感されました。
「食べる」という私たちにとって最も身近な行為が地球温暖化の最大要因の一つであるという
ことは、とてもショッキングな事実です。しかし翻って考えると、私たち一人ひとりが「食」を
見直すことで、地球温暖化防止に大きな貢献ができるということでもあります。
多くの方にとって、環境への問題意識を「行動」に移すきっかけをくれるような講座内容
だったのではないでしょうか。

次回PART3第2回は、12月1日(水)13時30分から、
「流域人として暮らす」をテーマに、水ジャーナリスト、アクアスフィア・水教育研究所代表の
橋本淳司さんに講演いただきます(※)。

※講座は既に終了しております。

SOMPO環境財団・瀬川

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2021
11,16
17:34
市民のための環境公開講座 11月10日(水)第6回
CATEGORY[市民のための環境公開講座]

こんにちは。SOMPO環境財団の瀬川です。

今回は11月10日(水)に開催された、「市民のための環境公開講座」PART2・第3回の
レポートをお届けします。



今回はPART2「企業が取り組むサステナビリティ」の第3回ということで、オールバーズ
日本法人マーケティング本部長の蓑輪光浩さんを講師に迎え、「カーボンニュートラルな
世界を目指す、オールバーズ」をテーマに講演いただきました。



オールバーズという企業、皆さんはご存知でしょうか?冒頭でアンケートを取ったところ、
おおよそ2割くらいの方が「知っている」と回答されていました。日本での一般的な認知度は
まだこれから、という段階かもしれませんが、海外セレブやトップアスリートを中心に熱狂的な
支持を集めるスニーカーブランドで、これからどんどん耳にする機会が多くなるかもしれません。

オールバーズはアメリカのサンフランシスコで2016年に創業された企業です。元プロサッカー
選手のティム・ブラウン氏と、再生可能エネルギーの専門家、ジョーイ・ズウィリンガー氏という、
まったく専門分野の異なる二人が立ち上げたブランドです。スポンサー付きで派手な装飾の
スニーカーに疑問を感じていたティムが、「ミニマルなデザインのウール製の靴を作る」という
着想から、「シンプルに、快適に」をコンセプトに起業をしました。



この靴はシリコンバレーを中心に大ヒットし、TIME誌でも「世界一快適な靴」と称されています。
レオナルド・ディカプリオ、バラク・オバマ、ティム・クックといった錚々たる方たちが愛用
しているブランドということで、2019年に日本に進出した時には大きな話題を呼びました。
実は昨年世界で一番売り上げの多かった店舗は原宿店だったそうです。



オールバーズの大きな特徴として、企業哲学の中心に「サステナビリティ」を据えていることが
挙げられます。オールバーズは「2030年カーボンニュートラル」を目指して(世界の目標
より20年早く!)、「ビジネスの力で気候変動を逆転する」と明言しています。
サステナは儲からない、という風潮が根強くありますが、ビジネスの力でこの常識と行動を変え、
しっかりと収益を上げながら持続可能な世界を実現することを目指しているとのことでした。



その目的を達成するため、ウール素材で洗濯ができる商品づくり(廃棄されないための工夫)、
商品ごとにカーボン・フットプリントを表示する(しかもカーボン・フットプリントが以前の
商品を上回るものは開発しない)、サトウキビ製のソール開発(オープンソース化して競業他社
にもノウハウ提供)、Bコーポレーションの認証取得など、これまでの常識に捉われない、
徹底した取り組みを行っています。


20年先を見据えたサステナビリティの取り組みは、「孫の世代に「何をしていたんだ」と
言われないように」という強い意志で臨んでいる、というお話はとても印象的でした。

講義全体を通じて、企業のミッション、ビジョン、課題、目標、自己認識やターゲットといった
すべての要素が非常に分かり易く言語化され、企業内で共有化されていることが伝わってきました。
蓑輪さんからは、「ぜひ店舗に足を運んでほしい、当社のミッションを一番熱く語るのは店舗の
スタッフです」とのお話があり、私も一度店舗スタッフの方から話を聞いてみたくなりました。
(実際に店舗スタッフがすばらしい!という参加者からの声もありました。)

サステナビリティを中心に据えながら品質の高い商品で収益をあげ、明確な言葉で目的や課題の
共有が図られている。新しい時代の企業の在り方を教えていただけた講座でした。

今回の講座で、「市民のための環境公開講座」PART2「企業が取り組むサステナビリティ」は
終了となります。

次回からのテーマは、PART3「わたしたちにできる選択」です。

第1回は11月23日(火)13時30分から(※)、「地球にやさしい食を探す旅」をテーマに、
立命館大学・食マネジメント学部教授の天野耕二さんに講演いただきます。
ぜひご視聴ください!

※これまでの講座と開始時間が異なりますのでご注意ください!

<市民のための環境公開講座・お申込み>

https://www.sompo-ef.org/kouza/kouza2021/

SOMPO環境財団・瀬川

拍手


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